広報・マーケティング担当者のための
ネット上の情報発信・情報流通を支援するネットPR.JP

適切なコンテンツをタイムリーに提供 ~IBMコンテンツマーケティング・セミナーレポート

公開日:2014年6月6日

IBMは2014年4月末、「より適切なコンテンツを、より効果的に提供する方法」と題し、コンテンツマーケティングに関するオンラインセミナーを開催した。講演者で同社マーケティングマネージャーのサラ・グルジボウスキ氏は、顧客一人ひとりに最適なコンテンツを制作し、適切なチャネルでタイムリーに提供することが、すべてのマーケターの課題であると指摘。課題解決のためには、全社的なコンテンツ戦略の策定と、企業幹部のサポートが必要不可欠であると強調した。

対話を求める消費者

グルジボウスキ氏はまず、今日の消費者の特徴を「かつてないほど(ブランドに対する)要求が厳しい」と説明。消費者はブランドから「マーケティングの対象」として扱われるのではなく、ブランドとの信頼関係に基づく対話を望んでおり、マーケターはそれに応える必要があると指摘した。

IBMのマーケティングマネージャー、サラ・グルジボウスキ氏

IBMのマーケティングマネージャー、サラ・グルジボウスキ氏

また、消費者はブランドに対し、一人ひとりの嗜好や関心を理解した上でのアプローチを期待しており、そのためには自ら進んで情報を提供する傾向があると分析。期待通りの「価値」を提供しないブランドは、消費者から接点を断たれてしまうと注意を促した。

継続的顧客エンゲージメント

こういった消費者のニーズを満たすため、マーケティング手法は「継続的顧客エンゲージメント」へと変わりつつある。

出典:IBM

出典:IBM

継続的顧客エンゲージメントでは、「すべての顧客との対話」が中心となる。ほかにも、キャンペーンの計画と管理を柱とする従来のマーケティング活動は、顧客中心の即時対応型へと変化する。一方通行かつ能動的なオファーは、位置情報に基づくリアルタイムなオファーへと進歩し、個別化が一層進む。つまり、オンライン、モバイル端末、または対面など、ブランドと消費者の接点が何であるかに関係なく、ブランドは一人ひとりの消費者にとって、その瞬間に有益なコンテンツを提供する必要があるという。

グルジボウスキ氏によると、IBMが2013年に発表した調査報告「The State of Marketing 2013: IBM’s Global Survey of Marketers」では、継続的顧客エンゲージメントを戦略的に採用した企業はそうでない企業に比べ、3年間の売上総利益成長率が1.8倍高く、純利益成長率は3.4倍、株価上昇率も2.4倍高かった。

課題はコンテンツの継続的創出

北米のB2Bマーケターのうち93%はコンテンツマーケティングを実施しているが、その効果を実感するマーケターはまだ少ない――。コンテンツマーケティング協会(Content Marketing Institute)とマーケティングプロフ(MarketingProfs)が2013年10月に発表したB2Bコンテンツマーケティング調査「B2B Content Marketing 2014: Benchmarks, Budgets, and Trends-North America」によると、B2Bコンテンツマーケターのうち73%が12カ月前に比べてコンテンツをより多く制作していたが、コンテンツマーケティングを効果的と考えているマーケターは、前年度調査の36%からは増えたものの全体の42%にとどまった。

ただし、コンテンツマーケティングに対する期待は大きく、B2Bマーケターの58%が向こう12カ月でコンテンツマーケティング予算の増額を計画していた。

グルジボウスキ氏によると、この調査ではコンテンツマーケティングの3大チャレンジとして、時間不足、十分な量のコンテンツを制作できない、顧客をエンゲージさせる優れたコンテンツを生み出せない――が挙がるなど、マーケターがコンテンツの継続的創出に苦労している実態が改めて浮き彫りにされた。

コンテンツ戦略

限られた時間とリソースの中で、高品質かつ個々の消費者に適切なコンテンツを、どうすればより簡単に制作できるのか。グルジボウスキ氏は「戦略とプロセス、技術をうまく組み合わせて生かす必要がある。一昼夜で簡単にできることではない」と指摘する。

そのための出発点として、何に焦点を当て、何から着手するべきかを判断するために、次の4つの質問が役に立つという。

  1. コンテンツ戦略を策定しているか
  2. コンテンツ戦略と予算の責任者はいるか
  3. 企業幹部がコンテンツマーケティングの価値を理解しているか
  4. コンテンツマーケティングの成功に欠かせないプロセスと技術を活用しているか

同氏によると、コンテンツ戦略の策定は、限られたリソースを最大限に活用し、結果を最大化するために必要不可欠であり、優れたマーケターの約7割はコンテンツ戦略を策定している。戦略策定に際しては、コンテンツによって関係を作りたい対象を特定し、その対象にとって適切なコンテンツの種類とチャネル、そして「最も重要なことだが、製品やサービスの価値以外にどのような価値を提供できるか、つまり、(消費者とブランドが接触した)瞬間に、ブランドとして消費者に、どのように役に立つことができるか」を検討するべきと助言した。

『統合エディトリアルカレンダー』

グルジボウスキ氏は次に、統合エディトリアルカレンダー(コンテンツカレンダー)の作成を提案した。統合エディトリアルカレンダーとは、どのようなコンテンツを、いつ、どのように提供するかといった計画や、コンテンツのローカライゼーションの有無などを長期的にまとめたものだ。

出典:IBM

出典:IBM

これをコンテンツ戦略に盛り込むことで、コンテンツマーケティングにかかわる全ての作業を調整し、マーケティングキャンペーンおよびプロジェクトの長期的全体像を把握できるほか、ブランドの対消費者メッセージに一貫性を持たせ、全社的戦略やブランドメッセージと調和したプロジェクトやキャンペーン展開が可能になるという。

企業幹部のサポートが不可欠

前掲のB2Bコンテンツマーケティング調査によると、B2B企業の73%が、コンテンツマーケティング戦略を指揮する責任者を置いていた。グルジボウスキ氏によると、コンテンツマーケティングに優れた企業ほど、責任者を置く率が高かった。

また、企業幹部の理解がなければ、コンテンツマーケティングの成功は困難だ。企業幹部のサポートは、予算確保とブランディングの一貫性の推進、そして顧客との対話継続に必要不可欠であると、グルジボウスキ氏は強調した。

最後にグルジボウスキ氏は、効率的なコンテンツ制作プロセスや、それを可能にする技術について紹介。また、多国籍企業が世界でブランドメッセージの一貫性を保つ方法の1つとして、各国のプロジェクトやキャンペーンの内容や進捗を把握できる、世界のどこからでもアクセス可能なマーケティングプラットフォームの構築を提案した。


寄稿者紹介

鶏内 智子(かいち ともこ)
フリーランスライター。ニューヨークを拠点に、ハイテク、メディア、ヘルスケア業界を中心に取材と記事執筆活動を行う。

Follow us!

ネットPR.JP 記事カテゴリー

ネットPR.JP 記事年別アーカイブ

ネットPR.JP 最新記事

ネットPR.JP 記事カテゴリー

ネットPR.JP 記事年別アーカイブ