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エンゲージメント向上とデータ活用~小さく始めて改善を

公開日:2014年3月18日

デジタル・マーケティング向けソフトウェアと技術提供のシルバーポップは2月27日、「エンゲージメント向上のためのデータ利用と自動化のヒント」と題したセミナーを行った。

講演したマーケティング・オペレーション担当ディレクターのタリバ・エムボニシ氏は、「既存顧客や潜在顧客に対し、適切なメッセージを適切なタイミングで、適切なチャンネルを通じて届けることで、企業やブランドに対するロイヤルティーや信頼度を高め、最終的に売り上げにつなげることができる」「そのためには顧客データの収集と解析、解析から得られる洞察に基づく行動といったステップが必要だが、それができていない企業は多い」「一連の処理をソフトウェアによって自動化することも可能だが、まずは(社内の既存技術を使って)できるところから小さく始め、結果を精査して、次につなげることが大事」などと語った。

顧客体験を変える

エムボニシ氏は、企業やブランドの顧客や潜在顧客はいまや、従来のように不特定多数にあてたメッセージではなく、「自分だけにカスタム化されたメッセージやコンテンツ」を受け取ることを、最初から期待していると現状を分析。顧客が企業やブランドと接触するチャンネルも、電子メール、Webサイト、ソーシャルメディア、モバイル端末、コールセンター、そして店舗などと多様化が進んでいることを踏まえ、企業やブランドは顧客の嗜好や行動を理解し、それに基づきメッセージやコンテンツを顧客ごとにカスタム化すること、そして、それらを複数チャンネルで一貫性を持たせて配信することが重要と強調した。

シルバーポップのマーケティング・オペレーション担当ディレクター、タリバ・エムボニシ氏

シルバーポップのマーケティング・オペレーション担当ディレクター、タリバ・エムボニシ氏

さらにエムボニシ氏は、多くの企業にとって、顧客体験を根本から変える努力が必要と指摘。その努力が結果的に事業の拡大や売上げ増につながるが、まずは「顧客との魅力的なインタラクション(やり取り)」を増やすことに注力するべきと語った。

そして、そのためには「既存顧客や潜在顧客の声を聞くこと」が第一ステップと説明。「マーケティング担当者は、企業やブランドの声を、消費者にいかに効果的に伝えるかということに注力する傾向がある。しかしこれからは、消費者の声を、もっとうまく聞くことに力を入れる必要がある」。具体的には、顧客が企業やブランドに対して発信する直接的な声だけでなく、顧客の購買パターンや、ソーシャルメディアあるいはWebサイトでの顧客の行動に隠された、間接的な声を吸い上げることが必要不可欠という。

顧客ニーズに注目、視点を転換

エムボニシ氏によると、顧客の声を聞くことは「(効果的マーケティングのための)方程式の半分」に過ぎず、残り半分は、その声を実際のマーケティングに生かすことだ。同氏は、顧客データの中から、企業が決めた特定の条件に合うグループを抽出し、特定のメッセージを配信するといったことは、いまも行われていると前置きしたうえで、今後はさらに踏み込んで、顧客ニーズを理解した上で、適切なメッセージやコンテンツ、あるいは特典情報を、適切なタイミングで送ることが大事と指摘する。つまり、企業やブランドの視点ではなく、顧客ニーズの視点からのアプローチが望まれるという。

エムボニシ氏はその例として、本屋でクレジットカードで支払いを済ませた直後に、その本屋の向かいにある店舗の、以前から興味があった製品の割引情報がスマートフォンに送られてきたという自身の体験を紹介。エムボニシ氏は、歩いて数分の店舗にすぐに出向いたという。「自宅で割引情報を受け取っていたら、わざわざ店舗まで出かけたりはしなかった。すぐ近くにいたからこそ立ち寄って、つい衝動買いをしてしまった」と振り返った。

顧客データベースを構築

顧客ニーズに基づくカスタム化されたメッセージやコンテンツ配信のためには、顧客データがあることが前提となる。そのためには、社内の複数部署がそれぞれ所有する顧客データを統合し、全社で共有可能な顧客データベースを構築することが理想という。

第3者が販売するデータも、必要に応じて顧客データベースに追加する。例えば眼鏡メーカーの場合、天気予報データを外部から購入し、サングラスに興味を示した潜在顧客に晴天の日を選んで割引クーポンを配信すれば、曇りの日に送るよりも高い効果を期待できる。

いったんデータベースを構築したら、次は顧客の行動データを追加する。電子メール・マーケティングを行っている企業であれば、顧客がメールを開封したかどうかや、メールに記載されたURLをクリックしたかどうかなどが、それに該当する。ほかにも、企業Webサイトの閲覧頻度や資料ダウンロードの有無、オフラインのイベント参加率、ソーシャルメディアでの行動、位置情報、モバイル・アプリケーションを使った活動なども、顧客の重要な行動データという。

ただし、「データの量を増やすことが目的ではない。集めようとしているデータが(企業活動や顧客との関係構築のために)本当に必要かどうかや費用対効果を考えたうえで、どのデータを集めるかを判断してほしい。データを定期的にアップデートできるか、そして、そのデータを効果的に生かせるかどうかも重要な判断材料。鮮度の落ちたデータは役に立たないし、活用できないデータはいくらあっても意味がない」と注意を促した。

既存技術を活用

エムボニシ氏は、顧客データに基づくメッセージやコンテンツのカスタム化の例として、電子メール・マーケティングの場合、顧客が関心を持つような件名をつける、顧客が興味を持つようなコンテンツを用意し、そのURLを記載する、過去の購入履歴を記載する、顧客がメールをチェックする時間を狙って配信する、などを挙げた。特に不動産関係など、業種によっては、担当者の顔写真を入れるとメールの応答率が高くなる傾向もあるという。

同様にWebサイトでは、顧客のプロファイルや興味の対象などに応じて、顧客が最初に訪れるページのコンテンツや、訴求する企業イメージを変えるといったアプローチが効果的という。

「顧客データの収集、特に行動データの収集や、データの解析、解析結果に基づくメッセージやコンテンツのカスタム化を自動化するツールは、すでにいろいろ提供されている。しかし、それらを使わなくても、表計算ソフトウェアなど、既存の技術でできることは多い。大切なことは、小さく始めて、確実にその結果を分析すること。少しずつできることから改善し、顧客にとって価値のあるメッセージやコンテンツを、適切な文脈で届けることを心掛けて欲しい」


寄稿者紹介

鶏内 智子(かいち ともこ)
フリーランスライター。ニューヨークを拠点に、ハイテク、メディア、ヘルスケア業界を中心に取材と記事執筆活動を行う。

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