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「書いてもらう」広報から「書く」広報へ! オウンドメディアのススメ

公開日:2015年9月16日

従来、社外に対しての広報業務といえば、プレスリリース配信や記者会見といった活動を通して、自社や製品についてメディアに「書いてもらう」活動がメインでした。

モバイル含むネット利用者の増加と、CMS活用による企業からの情報発信の敷居が下がった今、オウンドメディアでより広く潜在層へも届ける情報発信を多くの企業が実践しています。

「書いてもらう」広報から、自らも「書く」広報への転換は避けては通れません。

潜在顧客ターゲットとの接点をメディアに作ってもらうのではなく、自らも作りに行く広報活動へ拡張してきた Six Apart の事例を元に、「書いてもらう」から、「自ら書き、発信もする広報活動の価値」についてご紹介します。

改めまして、こんにちは。わたしはシックス・アパート株式会社で広報兼オウンドメディア「Six Apart ブログ」編集長の壽 かおりと申します。また、個人としても、VivaldiブラウザのPR業務のお手伝いなどをやっています。

オウンドメディアは、「読者目線の」自社メディア

トリプルメディアマーケティングと呼ばれる三種のメディアを通したマーケティングアプローチのひとつ、オウンドメディアについて整理しておきましょう。

以下に、三種のメディアの種類と目的を図解しました。

三種のメディアの種類と目的

ペイドメディア、直訳すると「買う」メディアです。バナーやネイティブアドなど各種の広告が含まれます。こちらは、自社で内容を監修した(多くの場合「書いてもらった」)広告クリエイティブを掲載する枠を購入するものです。

アーンドメディアは、「(信頼・評判を)得る」メディアです。新聞・雑誌・テレビなどのマスメディアや、ソーシャルでの口コミがここに含まれます。情報発信主体は第三者。「書いてくれる」ものなので、内容については明らかな事実誤認が無い限りノータッチです。

アーンドメディアに含まれるマスメディアやネットメディアは、プロの執筆者に読者目線の立場で紹介してもらった信頼性ある情報を、メディアならではの波及力でより多くの方へ届けられるというところが特徴です。

オウンドメディアは、「自ら所有する」メディアという言葉通り、自社サイトやカタログ、メルマガなど自社発信の情報を全て含みます。これまでオウンドメディアは、ニーズが顕在化している顧客に対し、より詳しく公式な情報を提供していくツールとして利用されてきました。

オウンドメディアは、広報にこそ向いている

「プロの執筆者に読者目線の立場で紹介してもらった信頼性ある記事を、メディアならではの波及力で拡散してもらい、より多くの潜在層のターゲットにリーチさせたい」

だからこそ、従来の広報はマスなメディアに書いてもらうことを重視してきました。

けれど、企業だって読者視点で読まれる記事を書けるし、波及力あるメディアを運営することができるのではないか。ということで、最近注目を集めている「オウンドメディア」がまさに、ブログメディア形式の読者目線の自社発信のメディアなのです。

「企業が発信したい情報」ではなく、「読者が知りたい情報」を提供する。ここに大きな発想転換が必要です。

そして、これこそが、広報の腕の見せどころです。常に「会社の思惑」、「メディアにとってのニュースバリュー」、「読者の期待に応える」の3すくみの真ん中でバランスをとって、一番刺さるストーリーを作っているのが広報ですよね。

そのバランス感覚、社内の良いストーリーを探してくる嗅覚、そのままオウンドメディアに生かしましょう。

 「読者が知りたい情報」の見つけ方

読者が知りたい情報とは何か。それを考えるヒントは、マーケティング学者セオドア・レビット氏の著書『マーケティング発想法』にある有名なマーケティング格言にあります。

”ドリルを買う人が欲しいのは「穴」である”

つまり、貴方の会社の製品を使う人が何を実現したいのか、を考えればいいのです。誰がどこにどのような大きさの穴を開け、それをどう使いたいのか。ここを深堀りしていけば、読者の知りたいことが見えてきます。

例えば、室内に絵画を飾るために金具設置用の穴を開けるといったニーズが多いのであれば、絵画のあるお部屋での生活に関する情報提供が考えられます。絵画のメンテナンスについてや、インテリアの話題もありますね。

作業員がコンクリート壁を破壊するための穴を開ける用途であれば、その作業員もしくは監督者が知っておくべき技術や業界の最新情報提供などがあります。複数人でやるべき作業であればチームワークの話題に展開することもできるでしょうし、穴を開ける前後に必要な作業にも視野を広げ、安全に効率良く行うためのノウハウはいくつか考えつきそうです。

逆に言えば、会社視点で伝えたい情報と考えると、宣伝に近い内容になってしまいます。一方、読者が知りたいことは、製品そのものではなく、その製品があることで何をどう実現できるかなのです。

「企業が伝えたいこと」と「読者が知りたいこと」

貴方の会社のミッションは、誰のどんな課題を解決することでしょうか?製品やサービスは、その課題を解決するための一つの手段。そして、広報(パブリック・リレーションズ)の役割は、ステークホルダーと良好な関係を構築していくことですよね。オウンドメディアという形で、自社の持つ業界の専門知識を活かし、読者の課題を解決に近づける情報提供をして、ステークホルダーを増やしつながりを強化していくという活動も、広報の領域といえるのではないでしょうか。

では、Six Apart ブログにとっての読者とは?

Six Apart では、Six Apart ブログというオウンドメディアを2012年より運営しています。

以前から、会社の公式情報は広報ブログ、製品サイトは各製品の公式ブログという形で情報発信をしていました。ですが、Six Apart ブログは対象読者も目的もそれらとは異なります。Six Apartブログは、企業の名を背負ってネットで情報発信している人たちに役に立つ情報を発信しています。いわば、オウンドメディア運営者のためのオウンドメディアです。

なぜならば、弊社の製品「Movable Type」は、企業の公式サイトやキャンペーンサイト、メディアサイト制作のCMSとして多く使われています。彼らがWebマーケティングをうまく活用し、彼らのビジネス成長につながるよう支援すること。それがゆくゆくはCMSを使う人やシーンが増え、自社製品のみならず製品カテゴリ全体の価値が高まって行くことにつながる、と考えています。決して、弊社の製品を使っている人のためだけのメディアではありません。

Six Apart ブログはオウンドメディア運営者に限らず、Webマーケティングに興味ある人に役立つ記事も多いメディアであるため、記事の対象読者が広いです。そのため、アーンドメディアであるハフィントン・ポストやSmartNewsなど信頼性や拡散力のある媒体での掲載にもつながっています。さらには、これまで公開した記事の内容からインタビュー取材や講演、他メディアでの記事執筆などを頂いたりなど、自ら発信する広報活動の範囲が、日々広がっています。

企業運営のメディアだって、プロの記者ほどではないにせよ読者目線を徹底し自社の専門知識を活かした良い記事を配信し続けていくことで、影響力あるオウンドメディアに育てることが可能なのです。

さあ、あなたも「書く」広報になりましょう。


寄稿者紹介

シックス・アパート株式会社  広報/Six Apart ブログ編集長
壽 かおり(ことぶき かおり)氏

1980年、奄美生まれ。ノルウェーOpera社のマーコム、B2Bマーケ担当を経て、2010年シックス・アパート入社。2014年まで「Zenback」プロダクトマネージャー、2014年より同社の広報・マーケティング担当、オウンドメディア「Six Apart ブログ」編集長、エッセイ投稿サイト「ShortNote」運営を手がける。また、個人としても「Vivaldi」ブラウザの広報、数社のPR業務支援、ライター・ブロガー活動も。

個人ブログ: http://www.kaoritter.com/
Twitter: @kaoritter

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