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マーケティング媒体として台頭するSNS

公開日:2006年11月9日

 大手企業が新たなマーケティング媒体としてソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)に注目している。企業のSNSへの取り組みと言えば、従来はバナー広告の掲載が一般的だった。しかし最近は、IBM、サン・マイクロシステムズといった技術系企業から、日産自動車、ゼネラル・モータズといった自動車大手、アメリカン・アパレルなどのアパレル大手などが相次ぎサービスに「参加」、潜在顧客との「対話」に力を入れている。
―利用者数が爆発的に増加
 SNSはもともと、資金に限りのある小規模企業のマーケティング媒体として利用されてきた。これら企業はテレビや雑誌に高額を投じて広告を掲載する代わりにユーチューブ(YouTube)やマイスペース(MySpace.com)といったSNSに製品紹介ビデオなどを紹介し、ブランド認知度やイメージを高めていった。いまや世界最大のSNSとなったマイスペースも、独立系アーチストが作品発表の場として利用したのが現在の人気のきっかけだ。

 一方、大手企業はこれまでSNSの利用には消極的だった。誰でも自由に参加し、コンテンツを作成・発信できるこれらサイトでは、プライバシー侵害、詐欺・窃盗といった犯罪行為が行われる危険が比較的高く、問題を起したサイトに広告を出していては企業のイメージ低下につながりかねないからだ。しかし、SNSの利用者数は爆発的に増え続けており、企業もその影響力を無視できなくなってきた。

―見せる広告から対話重視へ
 SNSにまず目をつけたのは、映画や自動車など、若者層にアピールしたい業界だった。例えば、4大テレビネットワーク局の1つ、NBCは、ユーチューブと番組宣伝ビデオの配信で提携した。レコード会社大手ワーナー・ブラザーズ・レコード(Warner Bros. Records)は、ユーチューブの広告プログラム「ブランド・チャンネル」を購入し、パリス・ヒルトンのデビューCD宣伝ページを開設した。CBSも10月はじめ、ユーチューブのコミュニティ向けに広告付き動画を配信することで提携、ユーチューブと広告収入を共有する。

 マーケティング手法も多様化が進んできた。なかでも大きな変化は、企業が自らコミュニティに参加し、会員との対話を重視するようになってきたことだ。製品キャラクターの名前などでオンラインプロフィールを作成し、キャラクターのアイコンや着メロのダウンロード、チャットなどができるようにし、潜在顧客の輪を広げている。

―3次元仮想世界へ進出
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セカンドライフの一場面。会員の分身が仮想世界で暮らす。

Copyright 2006, Linden Research, Inc. All Rights Reserved.

 2003年6月にサービスが正式公開されたセカンドライフ(Second Life)は、会員の分身(アバター)が「暮らす」、3次元仮想世界だ。「住民」はリンデン・ドル(Linden Dollar)と呼ばれる独自の通貨を利用し、物品やサービスの販売・購入といった経済活動を行っている。自分で土地を購入して自宅や商業施設を作り、起業することもできる。気分転換にバーやコンサートに顔を出し、旅行することだって可能だ。場所を移動するために空を飛んだり「テレポート」したりなど、超人的な動きができることなどを除けば、現実社会に極めて近い世界が実現されている。

 住民同士の会話はチャット形式で行われ、共通の趣味や関心を持つ住民グループもある。住民の数は10月末時点で1日数万人程度も増えており、11月はじめには120万人を突破。24時間あたりの経済活動(取引)規模は米ドル換算で60万ドルに迫る勢いで、もはや仮想世界とあなどれないほどの経済が形成されている。

 セカンドライフにも、IBM、インテル、日産自動車、トヨタ自動車など、大手企業が続々と進出している。サン・マイクロシステムズは他の会員と同じように土地を購入し、製品を展示するパビリオンを開設。10月にはプレス発表会を行い、幹部役員の分身が登場した。アディダスは実世界での新製品発表にあわせ、仮想世界でも分身用に「製品」の販売を開始した。住民が製品をカスタムデザインできるサービスも提供している。

 住民の注目度の点で成功例として評価が高いのは、日産自動車の取り組みだ。同社は本物の新車発表に合わせてセカンドライフで試乗コースを作り、住民に新車を「体験」してもらうキャンペーンを行い、人気を呼んだ。ロイター通信はセカンドライフに支局を開設し、仮想世界内のニュースを報道する専門記者を「派遣」した。

―SNS商業化に反発も
 しかし、こうしたSNSを利用したマーケティングには、相手の「顔」が見え難いという障害がある。セカンドライフのように、本人とは職業や性別さえも違うかもしれない分身が相手であれば、なおさらだ。また、コミュニティ型ウェブサイトの商業化に対する懸念も根強い。マーケティングもアプローチを間違えば、コミュニティ、つまり潜在顧客から完全に無視されることにもなりかねない。こうした状況を踏まえ、10月末にはセカンドライフ内にマーケティング・コンサルティング会社、クレヨン(crayon)が登場。ブログ、ポッドキャストといったソーシャルメディアや、消費者作成コンテンツ、仮想世界、モバイルなど新たな媒体の利用について、マーケター、広告主、PR専門家にアドバイスを提供する。コカ・コーラが第一号顧客になった。

関連URL:
ユーチューブ(YouTube)
http://www.YouTube.com

マイスペース(MySpace.com)
http://www.MySpace.com

セカンドライフ(Second Life)
http://www.SecondLife.com

クレヨン(crayon)
http://www.crayonville.com

■ ライター : 大村智子(ニューヨーク在住)

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