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米国PR大賞 - ダヴ・キャンペーン「ほんとうの美しさ」

公開日:2006年7月13日

 優れたPRキャンペーンを表彰する2006年度シルバー・アンビル授賞式(米国PR協会主催)が6月、ニューヨークで開催され、大賞にビューティー・ブランド「ダヴ(Dove)」のキャンペーン「ほんとうの美しさ」(エントリー企業:ユニリーバ、エデルマン)が選出された。日本を含む世界規模で実施されたこのキャンペーンは、様々な年齢やサイズの一般女性6人を広告モデルに起用。従来の「美しい女性」の代名詞、スーパーモデルの代わりに「普通の女性」を生き生きと描き、子供から高齢者まで幅広い年齢層の支持を獲得した。一種の社会現象にまで発展したキャンペーンの中心は、消費者参加型の特設ウェブサイトだった。
―美しさの定義に挑戦
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エデルマンのラリー・コフラー消費者ブランド担当上級副社長(左)とユニリーバのステイシー・ブライト上級コミュニケーション・マーケティング・マネージャー(シルバー・アンビル授賞式会場で)

 米国キャンペーンは2005年7月にはじまった。これに先立ち、PR会社エデルマンは、「美しさ」に関する女性の意識を調べる世界的調査を実施。世界で自分を「美しい」と感じている女性は、全体の2%しかいないことがわかった。エデルマンの消費者ブランド担当上級副社長、ラリー・コフラー氏は「キャンペーン企画にあたり、この発見が基礎になりました」と振り返る。この他、自分の体重や体格に「とても満足」している女性はわずか13%で、3分の2の女性は、メディアや広告が「非現実的な美しさの基準」を作り上げていると強く感じていた。

 キャンペーンのメッセージは、女性をステレオタイプな従来の美しさの定義から解放し、ありのままの美しさを発見し、楽しむこと。こうした女性の意識の変化を、ダヴ製品の売上げに反映させるのが最終目標だ。

 しかし、女性の声に基づいて立案された画期的な企画も、消費者に無視されれば、ただの「幻想」に終わってしまう。実際のところ、スーパーモデルの代わりに一般の人を起用したキャンペーンはこれまでもあったが、ほとんどは鳴かず飛ばずに終わっている。「いったん美しさの定義を変えると決めたら、その約束は実行したい。そのためには、従来と同じこと(キャンペーン)をやっていてはダメ。これからは、インターネットが重要な役割を果たすと思ったのです」と打ち明ける。

―インターネットを「ハブ」に
 6人の女性が下着姿で微笑む広告は、新鮮で衝撃度が強かった。テレビでは一般人が参加するオーディション番組やゲームが人気を博し、ある種の「リアリティ(現実)ブーム」が起きており、これがダヴ・キャンペーンの追い風になったことも否めない。しかし、キャンペーンが一過性の流行に終わらず、開始から1年後も多大な影響力を持つのは、インターネットの力によるところが大きい。

 特設サイトは、「本当の美しさ」について女性が意見を投稿し、議論する場だ。ターゲットは全ての女性。年齢層に応じ、子供には肯定的なセルフイメージ(自己像)の育成を、若い女性や成人女性には、自己に対する否定的な見方を変え、自尊心をはぐくむことを目的としている。

 キャンペーン開始当初は、人気番組や印刷媒体を利用し、サイトを積極的に「宣伝」した。また、サイトでも、ユニリーバと米国ガールスカウトが共同展開する子供向けプログラムに支持を表明した訪問者に代わり、訪問者あたり1ドルをダヴが寄付するプログラムを展開。これらの策が奏功し、サイトの累積訪問者数は150万名を超えた。コフラー氏によると、訪問者は特にサイト滞在時間が長いのが特徴という。

 インターネットは、従来も消費者への製品情報の提供媒体として、重要な役割を果たしてきた。しかし、ダヴのキャンペーンサイトと従来のサイトでは、その狙いが違う。「サイト(インターネット)は、ダヴ・キャンペーンのハブ(中心)として機能しています。サイトには、製品情報はあまり掲載していません。その代わり、女性に力や自信を与え、議論に参加してもらう場になればと願っています」という。

―サイト派生プロジェクトも
 「美しさの定義を変える」という当初のメッセージは、徐々に浸透しているようだ。サイトには「『完璧なボディ』は要らないってことがわかった。大切なのは、自分自身を愛すること」といったコメントが多数寄せられている。

 コフラー氏によると、今後の課題は「サイト訪問者の期待に、これからどのように応えていくか」ということだ。「キャンペーンのメッセージに共感し(女性のための活動に)ボランティア参加したいとか、(同様のキャンペーンを)学校のプロジェクトとしてやりたい、という問い合わせやリクエストをたくさんいただいています。時間や費用を考慮しながら、これらにいかにタイムリーに対応していくかが課題です」。

関連URL:
ユニリーバ(Unilever)
http://www.unilever.com

エデルマン(Edelman)
http://www.edelman.com/

ダヴ・キャンペーン・サイト(Campaign for real beauty)
http://www.campaignforrealbeauty.com

米国PR協会(Public Relations Society of America)
http://www.prsa.org/

■ ライター : 大村智子(ニューヨーク在住)

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