広報・マーケティング担当者のための
ネット上の情報発信・情報流通を支援するネットPR.JP

企業ブログ事例 - ゼネラルモーターズ(2)

公開日:2006年6月15日

 前号に引き続き、ゼネラルモーターズ(GM)のブログ「ファーストレーン(FastLane)」の責任者兼GMニューメディア担当ディレクターのマイケル・ワイリー氏と、ブログ制作・管理担当のPR会社マニング・セルベイジ・アンド・リー(MS&L: Manning Selvage & Lee)のマネージング・ディレクター、ジュド・ブラナム氏への取材を紹介する。

 今回は、否定的なコメントへの対応や、一般消費者との具体的な「対話」の成功事例などを聞いた。

―ブログは誰をターゲットにしていますか。
PHOTO


マイケル・ワイリー氏

ワイリー氏
従来のコミュニケーションやマーケティング・プログラムと違い、メッセージを伝えたい消費者や影響力を持ったグループなどは、あえて設定していません。いわゆる戦略もありません。それは、従来のプログラムからできるだけ距離を置き、あくまで口コミのプログラムとしてブログを育てたかったからです。仮に従来と同じアプローチを採っていたら、ネット上の対話には参加できなかったでしょう。

 開始から1年が経ち、ブログはハードコアのブロガー、熱烈な自動車ファン、GMファン、そしてGM担当のメディア(マスコミ)などに読まれています。また、メディアにリーチする(接点を作る)手段として、ブログが有効であることも分かりました。GMを追いかける大手メディアのレポーターは、ほぼ全員がブログを読んでいます。

<否定的内容も掲載>

―御社にとって否定的でマイナスのコメントには、どのように対応していますか。それらも全て公開するのですか。
ワイリー氏
 コメント掲載については予めポリシーを決めており、例えば個人攻撃や、あるいは特定の労働者団体からの攻撃は掲載しません。内容がGMにとって肯定的か、あるいは否定的か、といったことは、掲載する、しないの判断には全く関係ありません。特定の製品に対する個人的な苦情や不満も、そのまま載せることはありません。それらのコメントは、顧客支援部門に預けます。

ブラナム氏
 4月中旬時点で、寄せられた全コメントの90~95%を掲載しています。サイト公開からこれまでに8,000件以上を公開した計算です。

―掲載前に全てのコメントに目を通すとなると大変な作業ですね。
PHOTO


ジュド・ブラナム氏

ブラナム氏
 作業はMS&Lが担当しますが、確かにそうです。コメントの数が多いため、週末も入れて毎日、相当の時間をこの作業に費やしています。GMに対する一般の関心は非常に高いだけに、潜在的にダメージを与えるようなコメントが不用意に掲載されないよう注意を払っています。コメントのモニターは非常に労働集約的な作業であり、時間的にはブログ管理に要する時間の約半分くらいでしょうか。

<危機管理に貢献>

―ブログが一般消費者へのメッセージ伝達に有効だった例を教えて下さい。
ワイリー氏
 最近(3月)、テレビ番組「アプレンティス」(注1)と提携し、SUV「シボレー・タホ」の消費者制作メディア(Consumer Generated Media)キャンペーンを実施しました。番組参加者がタホ(シボレータホ)の(テレビ)広告を作り、その優劣を競うというものでしたが、同じプログラムをオンラインにも拡大し、一般の人も広告を作って公開・コンテストに参加できるようにしました(注2)。

 ところが、応募作の中には否定的な内容のものもあり、特に環境保全活動家が地球温暖化の元凶としてGMを攻撃した広告が、口コミでネット上に次々と流布されたのです。これを受けてシボレーのコミュニケーション担当ゼネラル・マネージャーがブログに書き込みし、このプログラムに参加した理由や、当初から否定的広告も予想していたこと、それにもかかわらず内容を「検閲」したりせず、プログラムのオープン性や透明性を最後まで守ったこと、対話(議論)をスタートさせたかったこと、などを説明しました。

 一般からの疑問や不信にも答え、問題を解決する手段としてブログを利用したわけです。また、マスコミに否定的な製品レビューが掲載された時なども、記事で指摘された項目ごとに我々サイドのストーリー、例えば、なぜその指摘が不適当で間違っていると考えるのか、などを掲載しています。

ブラナム氏
 製品への要望や意見は、開発担当にフィードバックしています。
新車情報についての書き込みは、ファンの関心を集め、自動車ショーなどのイベント性を高める効果がありました。

―何人くらいのGM社員が書き込みしていますか。

ワイリー氏
 全ての従業員がブログに参加できるよう、ファーストレーンとは別に、社員なら誰でも書き込みできる公開ブログ「フォー・ユア・インフォメーション(FYI)」を4月に始めました。
全ての書き込みを掲載するわけではありませんが、我々が判断し、読み手に関心があると思われるものや、ブログ参加者が過去に興味を示したものを公開しています。

―今後の課題を教えて下さい。
ブラナム氏
 ブログでの会話をより充実させ、続けていくことです。時間も人も限られており、全てのコメントに返事を書くのは困難ですが、できるだけ返答率を上げられるよう対策を考えています。

注1:
参加者に毎週課題を与えて競わせる、視聴者参加型の人気オーディション番組。最終的に勝ち残った人は、不動産王として知られるトランプ氏の会社で「アプレンティス(実習生)」として1年間働くことができる。

注2:
2006年4月6日時点でコンテストには約2万2000件の応募があった。

関連URL:
ゼネラルモーターズ(General Motors)
http://www.gm.com/

ファーストレーン(FastLane)
http://fastlane.gmblogs.com/

マニング・セルベイジ・アンド・リー(Manning Selvage & Lee)
http://www.mslpr.com/

フォー・ユア・インフォメーション(FYI)
http://fyi.gmblogs.com/

■ ライター : 大村智子(ニューヨーク在住)

Follow us!

ネットPR.JP 記事カテゴリー

ネットPR.JP 記事年別アーカイブ

ネットPR.JP 最新記事

ネットPR.JP 記事カテゴリー

ネットPR.JP 記事年別アーカイブ