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企業ブログ事例 - ゼネラルモーターズ(1)

公開日:2006年5月18日

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GMの公開ブログ「ファーストレーン(FastLane)」トップページ

 企業の新しいコミュニケーション手段としてブログが積極的に導入されている。IT系企業や中小企業で先行したが、最近では大手航空機メーカーのボーイング、PR会社のエーデルマン・アンド・カンパニーなど、IT系以外の大手企業でも利用が顕著になってきた。なかでもトラフィックの多さや、一般消費者との「対話」の確立に効果があったとして高く評価されているのが世界最大の自動車メーカー、ゼネラルモーターズ(GM)のブログ「ファーストレーン(FastLane)」だ(注)。ファーストレーン責任者でGMニューメディア担当ディレクターのマイケル・ワイリー氏と、ブログ制作・管理を担当するPR会社マニング・セルベイジ・アンド・リー(MS&L: Manning Selvage & Lee)のマネージング・ディレクター、ジュド・ブラナム氏の取材を2回にわたり紹介する。

(注):米国のPR業界専門誌「PRウィーク(PR Week)」が選ぶ2006年PR大賞インターネット利用部門で最優秀賞を受賞。他にもウォール・ストリート・ジャーナル、ニューヨーク・タイムズなど大手メディアで企業ブログ成功例として紹介される。

公開1年で累積ビジター数190万

 2005年1月に公開されたファーストレーンは、副会長のボブ・ラッツ氏を筆頭に、複数のGM幹部が新製品情報や世界の自動車ショー会場からのレポートを数日おきにエントリーしている。MS&Lによると、1日あたりのサイト・ビジター数は平均5000人強、3月初め時点の累積ビジター数は世界60ヶ国から190万人を超えた。

―ブログ導入のきっかけを教えてください。
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マイケル・ワイリー氏

ワイリー氏
 理由はたくさんありますが、1つ挙げるとすれば、一般的にGMのような大企業は、融通が利かず、人間味がないと言われてきたことがあります。これまで企業の声は、メディア(マスコミ)によってフィルターされ、あるいは浄化されて一般消費者に届けられてきました。ブログを使えば、人間味ある従業員の生の声を直接伝えられると思ったのです。
 また、GMは企業ウェブサイトやメディア・ウェブサイトを公開していますが、プレスリリースやマーケティング情報を一方的に発信するだけで、インターネット上で行われている「対話」に必ずしも参加しているとは言えませんでした。インターネット上の対話に参加するための、初の試みがファーストレーンです。

ブラナム氏
 他にも、GMは自動車の質や製造面で多大な進歩を遂げてきましたが、メディアの報道がそのスピードに追い付いていない、言い換えれば、GMの進歩が正当に評価されていないと感じていました。一般大衆と直接コミュニケーションすることができれば、メディアのフィルターがかけられていないメッセージを送ることができると思いました。

―副会長のラッツ氏にブロガーになることを要請したのはなぜですか。
ワイリー氏
 ボブ(ラッツ氏)は率直に意見を言う人で、ブログ参加についても非常にオープンに受け止めてくれるだろうと思ったのです。文章が上手く、これまでも多種多様なトピックスについて電子メールによる意見発信を積極的に行っていました。ビジネス界では、信頼できる人物として高く評価されています。

―ブログのビジター数が増えています。ネットコミュニティにどのように宣伝したのですか。
ワイリー氏
 特に宣伝はしておらず、ファーストレーンは口コミでここまで成長しました。大切なのは、私たちはファーストレーンを従来のマーケティングやコミュニケーション・プログラムの1つとしてではなく、独立した口コミ・プログラムとして捉えていることです。もし、ブログで人々にとって関心のある話題を取り上げていれば、人は自然に集まります。ブログの目的は、あくまでインターネット上の対話に参加することです。だから、ブログ公開をプレスリリースで宣伝したりすること自体、少し偽善的で当初の目的に反します。それまでの努力がすべて無駄になります。

―当初は著名なブロガーにコンタクトしたと聞きました。
ブラナム氏
 6名の著名なブロガーに、ブログ開設を知らせるメールを送りました。ブログを作ったので見てください、といった簡単な内容です。マーケティングではありません。

―効果はどのように評価しますか。
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ジュド・ブラナム氏


ブラナム氏
 いくつかの方法がありますが、ブログのトラフィックは常に確認しており、非常に確かな手応えを感じています。リンクやポスティング(エントリー)に寄せられたコメントの数、他のブログで取り上げられた数にも注目しており、これらは非常に高レベルで安定しています。昨年は年間を通じ、主流メディアからも基本的にブログの成功例として紹介されました。

―これまでで最大の課題は。
ワイリー氏
 コンテンツの維持ですね。エントリーのことを我々は「ブログフード」と呼んでいますが、ブログフードを常に十分に用意することです。外部コメントの節度を保つことも課題の1つです。エントリー1件あたり数百件のコメントが寄せられることがありますが、実際に承認する(公開)する前にそれらに全て目を通します。

次号に続く。次号では否定的コメントに対する取り扱い、具体的な「対話」の成功事例などについて聞く。

関連URL:
ゼネラルモーターズ(General Motors)
http://www.gm.com/

ファーストレーン(FastLane)
http://fastlane.gmblogs.com/

マニング・セルベイジ・アンド・リー(Manning Selvage & Lee)
http://www.mslpr.com/

■ ライター : 大村智子(ニューヨーク在住)

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