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米国PR大賞 [2]-選挙で自分の意思を表明しよう

公開日:2005年7月14日

 6月9日に開催された米国PR協会、PRSA主催のPR大賞授賞式は、若い有権者の2004年大統領選挙動員を目的とした超党派非営利キャンペーン「選挙で自分の意思を表明しよう(America’s Youth Declare Themselves)」を大賞に選んで閉会した。

 前回2000年の大統領選挙で18歳から24歳までの若い有権者層の投票率が連邦選挙管理委員会の調べで32%に低迷したことを受け、2004年の選挙戦では非営利団体(NPO)や政治団体による若年層を対象とした選挙活動が積極的に行われた。大賞授賞キャンペーンは、レオナルド・ディカプリオやクリスティーナ・アギレラなど若者に影響力のある俳優や歌手など著名人をスポークスマンに多数採用したキャンペーンを展開、マスコミを利用したPR戦略と、情報提供および投票手続き窓口としてのウェブサイトを効果的に連携し、投票率上昇に貢献したとして評価された。

―1,006名に聞き取り調査
 キャンペーンは、慈善家としても知られるテレビプロデューサー、ノーマン・レア氏が若年層の投票率低下を懸念し、娯楽産業界をはじめ、教育、技術、情報など、多彩な産業界に協力を呼びかけたのが発端となり、娯楽産業専門のPR会社、ブラグマン・ナイマン・カファレリ(BNC)が企画した。

 キャンペーンはまず、若年層の政治に対する意識や行動を把握する目的で、16歳から29歳までの全米1006名に電話による聞き取り調査を実施した。その結果、若者の投票行動に関わる以下のことが明らかになったという:

・生涯にわたり選挙参加の習慣を付けるには、投票資格ができる18歳時点での選挙参加が重要である(米国では投票資格を得るには、個人が選挙人登録をしなければならない。調査の結果、25歳から29歳までの投票者の77%が18歳の時に初めての選挙人登録を行っていた)。

・若い有権者のほとんどは選挙人登録の仕組みなどについて理解していたが、48%が選挙人登録用紙をオンラインで入手できることを知らなかった。

・若い有権者の58%が、候補者の公約や選挙に関する情報をワンストップで入手できるウェブサイトが必要と感じていた。

・18歳から29歳の有権者が選挙人登録しない主な理由は、候補者について十分な知識が無い(61%)、政策や問題点について把握していない(54%)だった。

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左からクリス・ロビチャウド氏(BNC社長兼最高業務責任者)、エリザベス・ローゼンバーグ氏(BNCシニア・アカウント・エグゼクティブ)、クリスティ・サルシド氏(Declare Yourself PRディレクター)、ダグ・ピウィンスキ氏(BNC上席副社長)。PRSA大賞授賞式で。

 これらを踏まえ、キャンペーンは、(1)キャンペーン用のウェブサイトを構築し、サイトからの選挙人登録用紙100万回ダウンロードを達成する、
(2)ターゲットを絞った地方および全国版広報活動を実施する、
(3)若者層(18歳から29歳)2000万人の投票を達成する、を目標に設定、以下の戦略を策定した:

・選挙に関する情報を提供する、ワンストップ情報サイトを構築する。

・技術系企業と提携し、インターネットの影響力を利用して若者層に接近する。

・娯楽、教育、メディア、小売りなど多様な業界の企業と提携し、日常生活の多様な場面で若者層にメッセージを伝える機会を作る。

・イベントやマスコミを利用し、若者を対象とした他のキャンペーンとの違いを明確にする。

―多彩な企業と提携、キャンペーン効果を最大化
 キャンペーンは選挙を1年後に控えた2003年11月、人気俳優、学生、政府や教育、企業関係者、マスコミなど合計数百人を動員したイベントを開催し、正式に幕を開けた。これを機に郵便局や大学施設などを利用し、人気俳優やミュージシャンが若者に投票を直接訴えるイベントを相次ぎ実施、テレビや新聞を通じたキャンペーンの認知度向上に着手。同時に、ヤフー、グーグルなどネット関連企業、タワーレコード、メーシーズといった流通大手と提携し、若者が日常的に利用するウェブサイトや店舗を利用したキャンペーン・サイトのPR活動を実施した。特にヤフーとの提携では、ヤフー関連サイトへのバナー広告掲載の他、歌手のクリスティーナ・アギレラをスポークスマンに仕立てたキャンペーンを実施し、多大な成果を収めた。

 この他、著名人を採用した数ヶ月の期間限定キャンペーンを継続して実施し、意識の向上を呼びかける一方で、高校生を対象に選挙や選挙人登録に関する冊子やフィルムを作成するなど、これから投票資格が出来る若者の教育に力を入れた。

―サイトが投票率向上に貢献
 BNCによると、選挙終了後に1年間のキャンペーンの成果を調べたところ、目標に掲げた3点は全て達成できたという。特に若年層の投票者数は2090万人に達し、ここ10年間で最大を記録した。また、キャンペーン前に実施した調査の後追い調査を行ったところ、キャンペーン・サイトから選挙人登録用紙をダウンロードした18歳から29歳の若者の83%が実際に選挙人登録を行い、さらに登録者の76%が投票するなど、サイトが投票率向上に大きな役割を果たしたことがわかった。包括的な情報サイトを目指した内容はもとより、若者層に焦点を絞ったデザインやメッセージが若者の関心を惹きつけ、サイト利用時間を増加、最終的に投票率向上という目標の達成に貢献したと言えそうだ。

参考ウェブサイト:
Declare Yourselfキャンペーン・サイト
www.DeclareYourself.com

BNC(Bragman Nyman Cafarelli = ブラグマン・ナイマン・カファレリ )
http://www.bncpr.com/pr/bnc/info/default.asp

■ ライター : 大村智子(ニューヨーク在住)

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