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米国企業のCSR-IBM [2]-

公開日:2005年5月12日

 IBMの最新報告によると、IBMが2003年に全世界の非営利団体や教育機関に寄贈した技術や寄付金は、総額1億4280万ドル相当に達した。同年の税引前利益の1.3%に当たる大きさだ。
従業員や定年退職者が地域ボランティア活動に費やした時間、社員や定年退職者が個人として行った寄付に追加する形で提供された現金や機器、社内の慈善寄付プログラムを通じて集められた寄付金を加えると、投資総額はさらに膨らむ。
 同社の社会貢献活動を統括・管理する部門、Corporate Community Relationsの副社長を務めるスタンレー・リトウ氏に、企業の社会責任(CSR)活動を続ける原動力や課題を聞いた。
<企業の市場価値を左右>

―Corporate Community Relationsの役割を教えて下さい。

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IBM Corporate Community Relations副社長兼IBM International Foundation代表のスタンレー・リトウ氏

リトウ氏
 IBMでは様々な側面から多くの組織がCSR活動に携わっており、Corporate Community Relationsは、これら組織の活動の調整と仲介を行います。たとえば、私は人事、サプライチェーン、環境問題など、CSRに関わる問題を扱う組織の代表者で構成されるCorporate Citizenship Councilの議長を兼ね、定期的に会合を設け、各組織の取り組み状況や課題を全体で共有し、横の連携を緊密に取るようにしています。
 全社的なプログラムについて、投資先を決定するのも我々の役割です。このため、日頃から世界各地のIBM研究施設と連絡を取り合い、開発中の画期的なアイデアやソリューションに関する情報を集めています。
 また、全世界の教育関係や社会的活動を行う非営利団体のリーダー、政府関係者、IBM社員と定期的に対話する機会を設け、さらに様々な調査を実施して一般市民の関心事や問題意識を分析し、各方面の問題や課題を探ります。そして、それらについて我々のイノベーション、技術、問題解決能力を総動員して解決策を検討し、実際に問題解決に貢献できると判断すれば、世界ベースで提供に踏み切ります。Corporate Community Relationsはこうした活動のコーディネーションに集中し、実際のソリューション提供は世界各地の担当組織が行います。

―IBMは社会貢献活動の歴史が長く、多様なプログラムを実施しています。原動力は何ですか。
リトウ氏
 企業の価値は、有形資産と無形資産の両方から判断されます。無形資産は企業の評判や地域社会との関係などによって評価されますが、その価値は数十億ドルです。企業のブランドイメージや地域社会との関係が、企業の最終的な市場価値を左右するというわけです。
 IBMは株主、従業員、顧客と同じように、企業戦略の一つとして地域社会への取り組みを重視しています。企業として事業の生産性を高め、成功するためには、地域社会との強固な関係構築が必要不可欠です。

―情報技術(IT)系企業として、CSRを事業機会開拓に連携させた活動も見られます。
リトウ氏
 IBMは革新的な技術の開発に誇りを持っており、それらを顧客だけでなく、社会的、教育的側面から広く世界と共有したいと考えています。たとえば、アクセシビリティに関しては、身体や学習能力など様々な障害を持った人たちがインターネットを中心とした知識経済社会から締め出されないようにするために、幅広いオープンソース・ソリューションの開発に取り組んでいます。テキストの音声自動変換、自動言語翻訳、文字のサイズ、背景色の変更といった技術は、様々なニーズを持った人たちが、情報に簡単にアクセスできるようにするのが狙いです。我々はこうした技術を、高齢者養護施設、教育機関、医療機関などへ助成プログラムを通じて提供しています。
 これら技術は、最終的に製品化され、商業的価値を生むかもしれません。ですが、我々は最初から製品化を目的にしているわけではありません。社会的、教育的に重要な問題を解決することを目指した結果として経済的価値が生まれれば、技術は継続的に改善、サポートされ、利用者と企業の双方にとって望ましい結果をもたらすでしょう。
<第3者評価を採用>

―CSR活動の成果は、どのように評価していますか。

リトウ氏
 内部評価も非常に重要ですが、社会貢献活動については、成果をベンチマーク評価するために作業を第3者機関に委託しています。世界で教員8万人と生徒800万人が参加する教育改善プログラム「Reinventing Education」は、第3者機関が独自に行った評価で生徒の学力向上が認められ、多々ある教育プログラムの中でも高い評価を得ました。世界規模のボランティア・プログラムに関する別の機関が実施した調査では、グローバルなプログラムの成功モデルと評価されました。
 一般的に、企業は新製品やサービスの売上げ、アカウンタビリティーは、忘れずに査定して評価しますね。そうしなければ、企業としての成功が判断できないからです。CSR活動についても、同じことが言えます。

―CSR活動を行ううえで、最大の課題は。
リトウ氏
 これまでに成し遂げたことと失敗から学び、プログラムを継続して改善することです。IBMはCSR活動に関する最新報告を出版しましたが、それは過去の実績をまとめたものにすぎません。大切なのは、将来を見据えた対策を講じることです。IBMは2003年に、グローバルに活動する企業を集めた組織「Global Leadership Network」の設立に携わりました。CSR活動に取り組む世界の企業が情報や意見を交換し、それぞれの技術や稼動を顧客だけでなく世界と共有し、活動の質を高めるための画期的な方法を考えるのが目的です。ゼネラル・エレクトリック、ゼネラルモーターズ、オムロンなど、世界各国の企業が参加しています。

参考URL:
IBM Community Relations
http://www.ibm.com/ibm/ibmgives/

■ ライター : 大村智子(ニューヨーク在住)

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