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米国企業のCSR-IBM [1]-

公開日:2005年3月31日

 IBMは社会貢献活動、または企業の社会責任(CSR)活動に力を入れる企業として知られ、教育、科学技術・文化振興、社会福祉、環境保全など多様な分野で活動を行っている。
 支援の形態は、教育機関や非営利団体への資金提供、同社の技術やサービスの提供、従業員ボランティアなど様々だが、いずれの活動も企業市民としての社会的責任を果たすことのほかに、企業イメージの向上、顧客や従業員との関係強化、潜在需要の発掘など、企業価値を高め、事業活動に貢献させることを目的としている。
―活動概要
 IBMは2002年に、同社初となるCSR活動に関する報告書をまとめた。これによると、非営利団体および教育機関を対象とした補助金、技術、サービス提供といった社会貢献活動への投資額は、2002年だけで1億4000万ドルだった。このうち、78%は技術支援の形で提供され、残り22%が補助金として支給されていた。従業員によるボランティア活動は、時間にして400万時間に達した。ちなみに93年の投資額は9200万ドルで、年によって多少の浮き沈みはあるが、投資額は全体として増加傾向にある。

―企業と地域社会協力の成功例
 IBMは教育支援を社会貢献活動の重点課題に位置付けており、1994年には教育改善プログラム「Reinventing Education」を発足させた。情報技術の活用により、米国をはじめとする世界各国の教育の質向上を目指したもので、教育機関に助成金や同社の技術、サービスを提供する。当初の予算は2500万ドルだったが、その後数回にわたって増額され、2002年末時点の総額は7000万ドル、本プログラムの恩恵を受けた生徒数は600万人に達したという。

 同プログラムの柱の1つ、「Riverdeep Learning Village」は、保護者、教師、地元社会、そして生徒間のコミュニケーションと協働を推進するためのツールや情報を提供するポータル・サイト。たとえば、教師がこれらツールを使って個々の生徒の能力に応じた教材を作って他の教育者と意見交換したり、州や自治体政府の教育関係者、保護者らとオンラインで連絡を取り合ったりといったことができる。IBMによると、同ポータルは米国のほか、オーストラリア、ブラジル、英国などで8万人超の教育者に利用されている。

 同プログラムは教育機関に製品や助成金を提供するだけでなく、IBMの研究者やコンサルタントが実際に学校に足を運び、利用者の意見を聞きながらカスタム化された技術やサービスを導入する点が特徴で、ビジネス誌などから「企業と地域社会協力の成功例」と高い評価を受けている。また、現場で収集されたニーズは将来の製品開発に役立てられ、こうして開発されたソリューションは他の教育機関への水平展開が図られている。

 2003年には新プログラム「On Demand Community」が設置され、従業員のボランティア活動に対し、同社の技術やリソースの提供が開始された。これにより、非営利団体の活動にボランティア参加する従業員が同社の活動計画作成や管理ツールを利用したり、障害者支援ツールを障害者施設に取り入れたりといったことが可能になった。IBMは、設置2年間に従業員2万5000人によるプログラム利用を見込んでいる。

―アクセシビリティに関する取り組み
 アクセシビリティとは、パソコンやウェブサイトで提供される情報やサービスへのアクセスのしやすさや使い易さのことで、国や自治体政府によって、製品やサービスの調達条件に挙げられている。米国ではリハビリテーション法508条によって連邦政府による電子情報技術の調達条件にアクセシビリティが加えられ、さらに連邦政府機関が提供するウェブサイトを同法に準拠してアクセシブルにすることが義務付けられた。同分野におけるIBMの取り組みの歴史は長く、これまでにテキスト音声変換技術を使ったウェブの音読ツールや、サイトの背景色やフォントを変えて視力の弱い人でも文字を読みやすくするといった技術を開発した。

 カナダの聖メアリー大学やカリフォルニア大学ノースリッジ校など10の大学機関が参加するイニシアチブ「Liberated Learning Initiative」では、IBMの音声認識技術を応用した、障害を持った学生の教育環境の改善に取り組んでいる。たとえば、聴覚障害のある学生は講義の聞き取りが難しく、視覚障害を持った学生はメモをとるのに時間がかかるなどの問題がある。そこで、聖メアリー大学では講師の声をマイクロホンで拾ってコンピュータに転送し、リアルタイムにテキスト変換して教室内のプロジェクタに映し出した。この実験は英語が第一言語でない学生などからも好評で、当初の予想を超える好意的なフィードバックが得られたという。IBMでは今後、テキストを学生のノートパソコンに転送・表示するサービスを開発する計画だ。

参考URL:
IBM CSRレポート掲載サイト
http://www.ibm.com/ibm/responsibility/

IBM Accessibility Centerのサイト
http://www-306.ibm.com/able/index.html

■ ライター : 大村智子(ニューヨーク在住)

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