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進化するオンライン広告と課題

公開日:2004年3月4日

 オンライン広告市場の回復基調が鮮明になってきた。オンライン広告の業界団体、インタラクティブ・アドバタイジング・ビューロー(IAB)がプライスウォーターハウス・クーパーズと共同で実施したオンライン広告収入調査によると、2003年第4四半期の米国売上高は前年比38%増の22億ドルに達し、当期としては過去最高を記録した。2003年通年の売上高は前年比20%増の72億ドルで、2000年をピークに始まった売上高の減少傾向に歯止めがかかった(表1)。
  

表1:米国オンライン広告収入の推移 (出典:IAB)
1999 2000 2001 2002 2003
売上高(10億ドル) 4.6 8.1 7.1 6.0 7.2

  

―長時間化するオンライン利用
IABによると、オンライン広告収入の伸び率は、テレビ広告など従来の広告媒体と比べて最も大きかった。オンライン広告市場自体の母体の小ささが影響しているとはいえ、ドットコム・バブル崩壊後、一旦は遠ざかったオンライン広告への企業の投資が、緩やかながら復活しつつあることは確かのようだ。

オンライン広告復権の背景に経済の回復があることは言うまでもないが、オンライン広告ならではの要因もある。まず、一般消費者のテレビ視聴時間が減り、ネットの利用時間が増えたことが挙げられる。業界関係者によると、この傾向は、高速ネット接続サービスの利用者増に正比例したものだ。通信業界団体の米国電気通信工業会(TIA)によると、米国のケーブル・モデムやDSL、第3世代携帯電話を含む高速ネット接続サービスの利用者数は、2004年の2850万人から、2007年には4700万人に増加する見通しだ。

―変わる広告形態
オンライン広告の形態は、オンライン広告市場の黎明期を支えたバナー広告が勢いを失い、検索結果に連動した広告を表示する、キーワード広告が注目を集めている。調査会社eマーケター(eMarketer)は、キーワード広告市場は2005年末までに30億ドル規模に成長し、オンライン広告市場の約35%を独占すると予想する(表2)。

表2:米国キーワード広告市場の推移 (出典:eMarketer)
2002 2003 2004 2005
売上高(100万ドル) 927 2,070 2,535 2,967
構成比*1 (%) 15.4 30.0 32.5 34.5
    *1 オンライン広告売上高に占めるキーワード広告の構成比


広告出稿企業にとって、キーワード広告は、最初から自社の製品やサービスにある程度興味を持ったネット利用者層に絞って広告を見せることが出来る点が特長だ。

検索エンジンを利用するキーワード広告は、より大きなターゲット層への露出も期待できる。調査会社ニールセン・ネットレイティングス(Nielsen/Netratings)によると、米国人の3人に1人は検索エンジンを使っているという。同社の調べでは、2004年1月に検索エンジンを使った米国人は1億1450万人で、全人口の39%だった。これは、米国オンライン人口の76%に相当する。最も人気の高い検索エンジンはグーグルで、オンライン人口の39%が利用した。

特筆すべきは、オンライン・ショッピング利用者による検索エンジンの利用が増えていることだ。同社によると、ショップを見つけるだけでなく、ショップの比較目的で検索エンジンを使う人が増えている。オンライン・ショッパーによる検索エンジンの利用が増えれば、それだけキーワード広告の価値も高くなる。

―反応率が高い、リッチメディア広告
オンライン広告ツール提供のダブルクリックがまとめた2003年第4四半期の調査によると、ネット利用者は、ウェブ・ページ上を移動したりしながら動的にメッセージを表示する、リッチメディア広告に対してより反応することが改めて示されたという。インプレッション(広告表示)あたり、ユーザーが何らかの行動をとった率は、静的な非リッチメディア広告の0.43%に対し、リッチメディア広告は1.11%と高かった。
―プライバシーと商標権侵害
オンライン広告投資が増える一方で、オンライン広告の効果的な利用方法の検討は、今も試行錯誤の段階にあると言ってよい。情報技術の進歩によって、企業はネット上のユーザーの行動をより具体的に把握することが可能になった。こうした情報を利用することで、一層ターゲットを絞り込んだ広告配信の道も開けて来る。また、懸賞広告を出してネット上でユーザー情報を収集し、オフラインの営業行為に活用、効果を上げる企業も多い。

一方、ユーザーのネット上の行動追跡がプライバシー侵害にあたるとする非難は、消費者保護団体などを中心に根強く聞かれる。また、注目のキーワード広告についても、広告主間の商標権侵害係争に発展するなど、問題点が明らかになっている。例えば、室内装飾品販売のアメリカン・ブラインド・アンド・ウォールペーパー・ファクトリーは1月、商標権侵害でグーグルを連邦地裁に起訴した。「アメリカン・ウォールペーパー」と「アメリカン・ブラインド」のキーワードで行われた検索結果の表示画面に、同社の競合の広告を表示したことに対してだ。オンライン広告を巡っては、今後、法的整備の必要性に関する議論も一層活発になりそうだ。

■ ライター : 大村智子(ニューヨーク在住)

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