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緊急時のコミュニケーション

公開日:2003年5月8日

 サイバー攻撃に遭って社内の情報システムが突然ダウン、機密情報漏洩の可能性も・・・。情報システムやインターネットへの企業活動の依存度が急速に高まった昨今、企業は足音もなく忍び寄る危険に日々さらされていると言っても過言でない。他にも会計不祥事、製品リコール、自然災害など、日頃から十分に対策を講じているつもりでも緊急事態や危機を100%回避することは難しい。そこで、危機に遭遇した企業の信頼性や将来性はむしろ、危機が発生した後の対応に左右されると言ってよい。まずは状況を正確に把握し、従業員、顧客、投資家などのステークホルダーへ迅速に情報を開示することがポイントだ。今回は、緊急時のコミュニケーションに焦点を当てたサービスを紹介する。

自己増殖するネットワーク
 米国では2001年のテロをきっかけに、緊急時のコミュニケーション手段を見直す動きが広がった。テロ直後、アクセスが急増して有線電話や携帯電話の回線がパンクし、通話がつながり難くなったことが、きっかけだ。これに対してメッシュ・ネットワークス(MeshNetworks)はピア・ツー・ピア(P2P。対等な立場の端末同士が情報を直接やり取りする仕組み)の考え方を応用し、物理的に近い端末同士が情報を交換し合い、自己増殖的に発展するアドホック型(その場限りの)無線ネットワーク技術を開発した。理論的には、同技術を実装したパソコンや携帯情報端末さえあれば、何時でも何処でもデータ通信が可能になる。このため、システム障害や災害などが原因で、既存のネットワークが使えない環境下で有効だ。

 メッシュ・ネットワークスは同技術の応用分野として無線LAN(Wi-Fi)、交通、公安、緊急時コミュニケーションなどを想定している。ネットワークに接続されたピア(端末)の一つ、仮にAが無線ルーターなどを経由して外のネットワーク、例えばインターネットに接続すると、同じネットワーク上の他のピアもAを経由してインターネットへ接続できる。

テイラーメイド型メッセージ配信のプロ
 エクスパダイト(Xpedite)は、顧客が指定した端末へ、指定されたタイミングで、指定されたフォーマットでメッセージを配信する、メッセージ配信サービスの専業大手である。配信される端末の種類、数、所在地に制限されないのが特徴だ。潜在顧客への販促キャンペーン情報の一斉配信など、企業のマーケティング需要の掘り起こしからスタートし、現在では旅行、金融、ホスピタリティ、技術など多業種を対象に、多様なサービスを展開する。ロバート・メイナー社長によると、最近は顧客の情報システムとエクスパダイトのシステムを連携させ、配信先に応じてメッセージやアラート(警告)をカスタム化して自動配信する需要が伸びている。例えば顧客関係管理(CRM)システムと連携させ、「製品出荷2日前に取引先に確認の連絡を入れる」といったメッセージ配信が可能になる。プッシュホンや電子メールを使って取引先の応答を回収し、CRMに反映したりコールセンターへ転送するといった双方向型通信にも対応している(図1)。

図1 エクスパダイトのサービス概要
図1

同社のサービスを、緊急時のコミュニケーション手段として利用する企業や組織も増えている。例えば学校機関。大雪、事件、事故などで休校する場合の、保護者、教師、学校職員など複数関係者への緊急連絡手段として導入している。

企業の危機管理対策に応用することも可能だ。メイナー社長によると、準備段階での主なポイントは下記の通り:

(1)危機の種類と深刻度(マイナー~大惨事)を定義する
(2)深刻度別に対応を決める
 ―社内だけで処理は可能か
 ―社外ステークホルダーに情報開示が必要か
    この場合、誰が、誰に対して、いつ、どのような形で、何を開示するべきか
 ―起こり得る事態を想定し、複数の声明文を事前に用意する
(3)深刻度に応じて、エスカレーション(段階的)手順を決める

(1)~(3)に基づき、エクスパダイトのシステムにアラートやメッセージの「配信条件」を設定する。例えば、顧客のシステムからエクスパダイトに対し5分間隔で何らかの信号を送る設定をしておき、信号が突然途切れたとする。途切れた時点でエクスパダイトから顧客のシステム担当者に「異常発生」を知らせるメッセージを自動配信する。さらに5分待って事態が改善しない場合は部門長へ配信し、部門長からの回答を待つ。こうして段階的に配信先、内容、方法を変えながら、関係者に迅速かつ確実にメッセージを配信する。声明文の配信も、あらかじめ配信先と内容を用意しておけば、その分、迅速な行動が可能になる。「近い将来、危機管理ソリューションとしてパッケージ提供することも検討中」(メイナー社長)である。

電子メール・システムを瞬時に復旧
 ある調査によると、1日にやり取りされる業務メッセージの数は2005年、米国だけで1,600万件に達するという。電子メール・システムの障害によって被った収益機会の喪失や生産性低下に伴う企業の被害額は、最近だけで数百万ドルに達したという資料もある。そこでメッセージワン(MessageOne)は、「企業とステークホルダー間で、最も効率的で信頼性に優れたコミュニケーション手段は電子メールである。事業継続に電子メールは必須」との認識にたち、緊急時の電子メール・システムの稼動維持を目的とした緊急時メッセージング・システム(EMS)を開発した。システム・ダウンなどの緊急事態が発生すると、送受信済みの全ての電子メールをオフサイドの独立したメッセージング・インフラへ送り込む。従業員はウェブ経由でEMSを経由してこのインフラへアクセスし、あたかも何も問題が無かったかのようにメールを利用できるというわけだ。

 創業者のアダム・デル氏は言っている。「もしコミュニケーションが出来なければ、(災害や事故からの)復旧はありえない」。

■ ライター : 大村智子(ニューヨーク在住)

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