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回復基調に乗るオンライン広告

公開日:2003年1月1日

 ウェブページを媒体とするオンライン広告の売上高が、上向きの気配を見せている。昨年末から年明けにかけて、2003年以降の回復を見通した楽観的な業界予測が次々と発表されている。

楽観的な業界予想
 調査会社eマーケター(eMarketer)は昨年12月、オンライン広告の標準化と推進団体「インタラクティブ・アドバタイジング・ビューロー(Interactive Advertising Bureau、IAB)」と共同で、2003年米国オンライン広告支出額は前年比6.3%増になるとの予測を発表した。広告業界全体の伸び率は同4.7%とみており、オンライン広告の伸び率が業界平均を上回るとの見通しだ。

同時にIABはプライス・ウォーターハウス・クーパーズと協力し、2002年第3四半期の米国オンライン広告売上高が直前期1%増の14億7,000万ドルに達するとの見通しを発表。前年同期比では18%の大幅減少だが、過去6四半期で初めて直前期比で上向くとの見解を示した。

一方、フランスの広告代理店、Havasは、ロンドン大学のロンドン・ビジネス・スクールと協力して米国、ドイツ、日本、英国、フランスの大手企業を対象に調査を実施し、2003年のオンライン広告支出額は前年比11.7%増になるとの予想を発表した。特に、英国と米国が市場の成長をけん引するという。広告予算の分野別成長率は下記の通りである。

カテゴリー 2001年度
構成比
成長率
2002 vs 2001
成長率
2003 vs 2002
成長率
2003 vs 2001
媒体広告 45.4 -2.0 +3.6 +1.6
セールス・プロモーション 19.8 +0.8 +0.6 +1.4
ダイレクト・メール 12.8 +3.8 +3.5 +7.4
PR/スポンサーシップ 12.7 +1.8 +2.2 +4.0
オンライン広告   6.1 +6.6 +11.7 +19.1
合計(その他を含む) 100 +0.6 +3.3 +3.9
表1:カテゴリー別 広告支出額成長率
出所:“Marketing Expenditure Trends”, December 2002, Havas & London Business School

一般消費者のネット利用状況
オンライン広告が復活の兆しを見せたのは、従来型媒体と比較したオンライン広告の費用対効果の高さが認識され始めた結果と言って良い。これは、広告配信先を効率的に絞り込む、ターゲット・アドの有効性が改善されたことが大きい。一般消費者によるインターネット利用の増加も見逃せない。

カリフォルニア大学ロサンゼルス校は1月末、一般家庭におけるインターネット利用に関する調査結果を発表した。2002年4-6月に全米2,000世帯を対象に実施したヒアリング調査の結果をまとめたもので、インターネット利用歴が6年以上の熟練ユーザーの間で、情報源としてのインターネットの重要度がテレビ、ラジオ、雑誌などの既存媒体を超えたことが明らかになった(表2参照)。一方で、インターネット上で配信される情報に対する信頼度は低下した。ネット上の情報のほとんど、または全てを信頼できると回答したユーザーの割合は、前年の58%から53%に低下。また、39.9%のユーザーが、ネット上で信頼できる情報は僅かに半数程度と回答した。一般消費者によるインターネットの使用方法が洗練されて来たこと、これに伴い、情報源の取捨選択眼が厳しくなっていることの現れと言ってよい。

表2:インターネット利用年数別、情報源調査
図1
(注) 初心者:インターネット利用歴1年未満
熟練者:インターネット利用歴6年以上

 ネット普及率は前年とほぼ同じ71%だった。週あたりのインターネット平均利用時間は、2001年の9.8時間から11.1時間へ増加。これと比例してテレビの視聴時間は減っており、ユーザーがテレビの視聴時間を削ってインターネット利用に当てている実態がより鮮明になった。非ユーザーと比較したテレビの視聴時間は、平均5.4時間も少ない。この傾向は児童の間で特に顕著になっており、ネット利用開始前と後では約3分の1がテレビの視聴時間を減らしている。

オンライン広告の形態
オンライン広告の形態も、多様化と淘汰が同時進行している。オンライン広告黎明期の94年に登場し市場の拡大に貢献したバナー広告は、その役割を終えつつある。バナー広告とは、ウェブページに貼り付けられた長方形のリンク画像のこと。画像をクリックすると広告主のサイトへジャンプする仕組みになっている。ただし、ユーザーによる最近のクリック率は低く、大抵の場合、広告自体が無視されているのが現状だ。大手サイトの多くは既にバナー広告廃止の方向に動いている。米国第5位の検索サイト、アスク・ジーブス(Ask Jeeves)は2003年の年頭、バナー広告の取り扱いを中止した。今後は、検索結果の一部に検索結果の形をとった広告掲載をしたり、スポンサー・リスティングをしたりなど、ターゲット広告へ注力していく計画だ。バナー広告の広告形態としての有効性は、業界関係者の間では長く議論されて来たことでもある。ウォールストリート・ジャーナル紙によると、ジーブスは昨年、バナー広告に関するユーザーの施行調査を実施した。その結果、ユーザーのほとんどが広告を無視するか、目障りだと考えていることがわかった。さらに、バナー広告をクリックした数はビジターの0.5%程度で、広告効果が小さいことも改めて浮き彫りになった。同社の第3四半期売上高1,780万ドルのうち、バナー広告の売上高は5%弱だった。業界全体でもバナー広告の売上げは減少しており、IABによると、2002年第2四半期オンライン広告売上高のうちバナー広告の構成比は32%で、全盛期の97年の55%から大幅に減少している。 こうした動きを受けてIABは昨年12月、広告フォーマットに関する提言書「ユニバーサル広告パッケージ」を発表した。標準バナー広告の提供を中止し、ユーザーの目に留まりやすい大型広告を推奨する内容で、スカイスクレーパーと呼ばれる縦長の大型広告や、バナー広告よりも大きな長方形で、ウェブページの中央に配置されるものなどを提案している。ただし、業界では新しい広告形態の成功を疑問視する声も少なくない。広告のサイズと成功を関連付けるデータはほとんど無いのが実態だ。企業にとって2003年は、広告媒体としてのインターネット戦略の再考が求められる年になりそうだ。

■ ライター : 大村智子(ニューヨーク在住)

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