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インターネットとコミュニケーション

公開日:2002年12月1日

 2003年1月2日――。多くの企業にとって仕事始めとなるこの日、ニューヨーク市マンハッタン島の南部、「シリコンアレー」と呼ばれるインターネット関連企業の一大集積地も、クリスマス休暇から戻ってきた人たちで一気に活気を取り戻す。その只中にあるのが2000年創業のビジアム(Busium)*だ。インターネットを使ったビジネス機会の創出と拡大をテーマに、企業のコミュニケーション戦略の策定から実行までを包括的に引き受けるコミュニケーションの「よろず屋集団」。日米両企業の事情に精通し、「コミュニケーションはアート」と語る社長兼CEOの谷口佳久氏に、インターネット時代のコミュニケーションについて聞いた。

谷口さんは、証券マンからインターネットを使った「コミュニケーション」の専門家へと転身されました。きっかけを教えて下さい
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谷口 佳久(たにぐち・よしひさ)
社長兼CEO(最高経営責任者)

谷口 インターネット、正確に言うとウェブ・サイトは、企業の戦略が直に反映される、とても面白い世界だと思ったんです。つまり、伝えたいメッセージを直接、皆さんに届けることが出来る。企業にはそれぞれ目的があり、それを達成するためには、誰に、何を、どのように伝えるか、その結果、次にどういう行動を起こしたいのか、といった戦略が必要です。その戦略を具現化できるのがインターネットだと思います。例えば、パソコン・メーカーはこれまで、ユーザーへの製品価値の説明は店頭販売員に委ねる以外に実際には手段がなかったわけです。しかし、今ではデル・コンピュータのような直販メーカーが出現し、ウェブ・サイトからユーザーへメッセージを直接、戦略に沿った形で明確に発信出来るようになりました。しかも、ユーザー・ニーズに応じたシステムを瞬時に設計し、値段や納品日まで知らせてくれる。つまり、メッセージを言葉で伝えるだけでなく、ユーザーに体験(参加)させて確実に伝えようとする工夫も出来るんです。

ビジアムは日米両企業と仕事をされているわけですが、コミュニケーションに対する日米企業の認識や取り組み方に違いはありますか
谷口 多民族国家の米国は、メッセージを伝える側が、相手に伝わるまで「伝える努力」を惜しまない国なんですね。言い方やアプローチを変えて、伝え切るまであきらめない。でも、日本はそうじゃない。「推して知るべし」という文化が従来ある。つまり、一を言ったら後は自分で考えてください、ということ。企業のコミュニケーション手段としては、適当とは言えませんね。

-コミュニケーションはアート-
メッセージを確実に伝えるには、伝える側に努力や工夫が必要ということですね。
谷口 そうです。それにはまず、コミュニケーションの根幹にかかわる部分ですが、メッセージをデザインする必要があります。この過程は非常に重要で、コミュニケーション、または広報専門家の技量次第で結果に大きな差が生じることもあります。私は、コミュニケーションの仕事はアートだと思っています。言葉の選び方から伝え方までを、じっくりと考える編集作業が必要だからです。その証拠に、米国の専門家には元映画脚本家とか、アート系出身の人が多いんですよ。対照的に、日本企業は様式美に固執するというか、お定まりの言葉で済ます企業が多いですね。もっと踏み込んで、自分の言葉で伝える努力が必要だと思います。
 実際、米国へ進出した日本企業は、ほぼ例外なくコミュニケーションの壁にぶつかっています。特に、大企業が抱える問題は大きいですね。日本では、名前を伝えるだけで何をしている企業か分かってもらえるわけですから。

-インターネットはよく切れるナイフ-
インターネット普及によるデメリットはありませんか
谷口 企業にとって、インターネットを使った企業の誹謗中傷や内部告発が脅威であることは事実です。ただし、それをデメリットと捕えるかどうかは、企業の対応次第ですね。例えば、社員がネット上のあるサイトに中傷記事を書き込んだとします。そのサイトへ接続出来ないように社内のネットワークを設定することは簡単ですが、小手先の対応では何の解決にもなりません。それよりも、事件の原因を究明し、問題点が企業にあれば修復努力をするなどの行動を起こす。正攻法で根本から問題解決しようとする企業の行動は、社内外へ肯定的なメッセージとして伝わります。こうなると、窮状をプラスに変えることも出来るのです。

インターネットの普及で、コミュニケーションの希薄化を危惧する声もあります
谷口 私は全く逆だと考えています。例えば、メールで事前に議題を確認し、予習をしてから会議に臨む。そうすると、短い時間で非常に中味が濃い打ち合わせが出来るわけです。また、メールでしか交流がなかったダイビング同好会の仲間とは、初対面から古い友達だったかのように話が出来る。つまり、メールやインターネットはコミュニケーションを全て代替するのではなく、逆にコミュニケーションを深めることが出来るんですね。企業では、組織の大きさに応じた方法があると思います。例えば、社員が数万人もいるような大企業では社長が社員一人一人と会うのは無理です。でも、メールでメッセージを伝えることは出来ますよね。会えない状況を、メールを使って補完するわけです。
 インターネットは、コミュニケーションにおける“よく切れるナイフ”なんですよ。つまり、使い方次第なんです。使い手は、使い方をよく理解することが大切です。「よく切れて危険だから、切れないようにする」では変ですよね。

コミュニケーション手段として、インターネットを上手に活用するためのヒントを
谷口 まずは、経営陣がコミュニケーションの革命を肌身で感じないと。情報の垣根は圧倒的に下がっています。拙い事を隠す、規制すること自体がもはや意味をなさない、ということを理解しなければ。それから、日本企業、特に中小企業にはどんどん、外へ出て行って欲しいですね。せっかくの素晴らしい技術を、日本だけに埋もらせてしまっては惜しい。コミュニケーションに関しては我々プロに任せて下さい。

谷口さんの今後の夢を聞かせて下さい
谷口 ニューヨークだけではなく、ロンドンやパリ、上海などへも活動の場を広げ、日本と異文化の橋渡しが出来たらいいですね。一つの大きな夢です。

■ ライター : 大村智子(ニューヨーク在住)

*ビジアム(Busium Inc.)
ニューヨーク州ニューヨーク市。コーポレート・コミュニケーションズ、システム・ソリューションズ、デジタル・メディア、リサーチの4分野で事業を展開。主な顧客はNTTドコモ、H.I.S.、アメリカン航空など。ホームページはwww.busium.biz。

谷口氏 経歴
日本で大学を卒業後、日興證券でデリバティブ(金融派生商品)のトレードとシステム開発に従事。社内のネットワーク化プロジェクトや社外との戦略的提携などへ積極的に参加、シリコンバレーとの交流も深める。97年から米国法人ニューヨーク支店勤務。2000年6月に現COO(最高業務責任者)の山脇智志氏とビジアムを創立。

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