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理想のCEOはチェイニー副大統領とパウエル国務長官

公開日:2002年2月1日

 米国の金融関係者の間では年明け以降、米国の景気後退は1-3月期に底を打ち、2002年は上昇に転じるとの見方が強まっている。しかし実際には企業倒産や人員解雇のニュースが相次ぎ、回復の呼び声とはほど遠い状況だ。昨年は業績悪化から多くの企業が人員解雇に踏み切り、雇用再開に向けた足取りも鈍い。調査会社Straszheim Global Advisorsの代表、Donald H. Straszheim氏は2月初旬にニューヨークで開催された投資家向け会議で講演し、人員解雇の“痛み”を経験した企業は同じ過ちを繰り返さないために「(米国企業は)業績回復に自信が持てるまで、新規雇用は見送る」との見方を示した。失業率は1月の5.6%から「数ヶ月以内に6.5%程度にまで悪化するだろう」という。低迷感が尾を引く中、企業では、業績回復に向けた明確なビジョンの策定とそれを実行する強いリーダーシップ、そして従業員との継続的なコミュニケーションが今まで以上に求められている。

Enron事件
 2月に入って、「ソルトレークシティー冬季五輪」と「Enron(エンロン)」の文字を新聞やテレビで目にしない日は無いと言ってよい。冬季五輪はさておき、電力や天然ガスなどエネルギー卸売り大手エンロンの破綻は、米社会に大きな影響を与えている。エンロンは昨年12月、日本の会社更生法にあたるChapter11(米連邦破産法11条)の適用を申請。131億ドルという負債総額の大きさはもちろん、組織的な会計操作や幹部のインサイダー取引疑惑、ブッシュ政権との癒着疑惑が浮上、政界、産業界に広く波紋を及ぼしている。当地の有力紙はIBMやMicrosoft、先ごろ破綻したディスカウント小売大手のK-Mart、通信事業者のGlobal Crossingにも会計操作の疑いがあると報じており、破綻の影響はじわりじわりと広がっている。
 一時は“Eコマース時代の寵児”として、もてはやされたエンロン。破綻劇は、粉飾決算がきっかけであったことから、エンロン一社にとどまらず、米国の企業会計に対する信頼そのものを揺さぶりかねない大事件に発展する可能性がある。さらに、確定拠出型年金401kで自社株に投資したエンロンの従業員の多くは、破綻によって年金のほとんどを失ってしまった。その一方で、経営陣は破綻前に株式を売却し、多額の利益を得ていたことが判明。従業員に株式購入を奨励する裏側で、経営陣は「会社が危機的状況にあることを知って株式を売却した」との疑惑が持ち上がっている。

破綻の影響
 Enron事件をきっかけに、米国の大手企業全般に対する不信感が広がっている。世論調査会社のGallup OrganizationとCNN、全国紙USA Todayが1月25~27日に共同で実施した調査によると、「企業は従業員の利益をどの程度守ると思うか」という問いに対し、48%が「少ししか守らない」または「全く守らない」と回答した(図1)。一方、株主の利益については、64%が「大いに保護する」または「保護する」と回答し、国民の多くが、企業は従業員よりも株主の利益を重視すると考えていることがわかった。さらに経営陣のモチベイションについて聞いたところ、52%が「企業の発展のために働いている」と答えたのに対し、43%が「自分の利益のためだけに働いている」と回答。経営陣に対する不信感が明らかになっている。

図1 企業は従業員の利益をどの程度守ってくれると思いますか
図1

厳しい時代の理想のリーダー
 大手企業の相次ぐ倒産と会計疑惑の浮上を受けて、企業では「自分たちは大丈夫なのか」という声が必然的に高まっている。これを受けて広報機関の業界団体などでは、企業内広報の役割として「強いリーダーシップ確立」と「従業員とのコミュニケーション強化」の重要性を強調している。企業に対する信頼感が揺らいでいる今、「CEO(最高経営責任者)などの企業トップが自ら広報マンとなり、企業の誠実なイメージをアピールする」ことが大切であると、広く呼びかけている。
 広報関係の専門誌発行Lawrence Regan Communicationsは、従業員の信頼を維持し、業務の生産性を高めるための方法として、「従業員と経営陣や幹部との対話の場を増やす」「変化に対して従業員に迅速に情報を提供する」「電話、電子メール、社内テレビ放送、印刷物などあらゆる媒体を利用してニュースを迅速に伝達する」ことなどを挙げている。
 ちなみに広報機関の業界団体Council of Public Relations Firmsが2月に発表した調査によると、米フォーチュン1000の経営陣に複数の候補を挙げて「厳しい時代に理想のCEO像」を聞いたところ、チェイニー副大統領とパウエル国務長官がそれぞれ23%で同率トップ。ブッシュ大統領を選んだのは15%で、ジュリアーニ前ニューヨーク市長と並んで3位だった(図2)。CEOの「最も重要な素質」については、回答者の約半数が「コミュニケーションとモチベイション能力」と回答した(図3)。従業員との意思疎通を図りながら理想の実現に向けて強いリーダーシップを発揮する――期待のCEO像を垣間見ることが出来る。

図2 理想のCEO像   図3 CEOの最も重要な素質
図2   図3

■ ライター : 大村智子(ニューヨーク在住)

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