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情報技術活用のいろいろ

公開日:2002年1月1日

 米企業の人事関係者にとって、眠れない夜が続く。いまだ景気の底入れ感がつかめず、苦境をなんとか生きて脱出するための策に頭を悩ます毎日。経費削減は至上命令のひとつ、即効性があるのは人員解雇だが、「次は我が身」と戦々恐々日々をやり過ごす従業員の生産性は下がる一方だ。優秀な従業員を確保し、仕事に集中できるようにと用意した福利厚生プログラムも、真っ先に経費削減の対象になってしまった。こうなると従業員のモラルは下がる一方。経費削減と生産性向上の板ばさみで動きがとれなくなってしまった――。
 何度も耳にした話だが、解決策の一つはやはり情報技術(IT)を活用した業務の合理化と戦略分野への投資集中である。
Employee Relationship Management
 “従業員に焦点をおいた”情報やサービスを提供する。それによって従業員と企業との間によい関係を築き、従業員の満足度、生産性を高め、最終的に企業全体の効率向上を目指す経営手法がEmployee Relationship Management(従業員関係管理、ERM)である。比較的新しいコンセプトではあるが、大手のソフトウエア会社が続々と同分野に参入し、注目を集めている。
 ERMは従業員の入社から退社まで、社員教育、能力管理、福利厚生、給与、そして業務に関するあるとあらゆる情報やサービスを、イントラネット上でセルフサービスで提供するもの。社内の関連部署を結び、システムや情報を共有する。支出や調達、簡単なパソコンのヘルプデスク対応などは自動化してしまえば、経費削減はもとより、浮いた稼動をよりコア業務へ振り分けることができる。
 従業員を中心に据えた構成にすることで、従業員の満足度を高めて生産性を向上させる――ERM関連製品を提供するソフトウエア大手のSiebel Systemsによると「従業員の満足度が高い企業は、顧客からも高い評価を得ている」という。優秀な従業員を確保して企業の業績も伸ばす――ERPの狙いはここにある。
 CIBC World Marketsによると、米企業は従業員の雇用、教育、管理費用として年間1600億ドル、従業員一人あたり1500ドルという巨額を投資しているという。優秀な従業員を長く留めることは、それだけで経費削減効果が大きい。

ERMの導入事例
 英国の航空会社British Airwaysは、21の空港の顧客サービス・センターと、米国コールセンター3拠点の従業員の業務時間の記録・管理と給与計算の自動化を目的にERMを導入した。ERP導入前は、従業員は出社・帰社時にはマニュアルでタイムカードに時間を記録。残業時間と給料の計算は、総務担当者がタイムカードと向き合い1件ごとに計算していた。そのため計算間違いや、給料関係の情報管理が上手くなされないという問題があった。
 ERP導入によって同社は、時間管理から給料小切手発行までを全て自動化した。さらに支払い額や税金、住所変更など個人情報の更新や確認を、従業員が必要な時にいつでも出来るようにした。その結果、間違いが減り、情報アクセス公開に対しても従業員から高い評価を得た。給料計算に追われていた総務担当者は、業務の合理化によって稼動をより生産性が高い業務にあてることができ、こちらも満足度が向上したという。ERP導入による経費削減効果は給料の1%、最終的には5%を達成できそうだという。

中小企業の福利厚生支援サービス
 従業員の退職後の生活支援サービスを、インターネットで提供する企業もある。99年設立のベンチャー企業GoldKは、中小企業の従業員向けに401K(確定拠出型企業年金)プランをインターネット上で提供している。
 調査会社Tower Groupによると、従業員が100人を超える企業の85%が401Kプランを導入し、従業員へ提供しているのに対し、100人未満の企業では、その割合は激減するという。これは企業にとって401Kプランの管理・運営に膨大な費用と稼動がかかるためで、中小企業では導入はおろか、導入に対する関心さえ低いという。GoldKはこうした問題に対し、インターネット上でサービスを提供することで業務の合理化をはかり、導入企業や個人に対する費用負担を大幅に削減した。サービスによっては、運営・管理費用は一切無料である。GoldKのサービスは、ITを上手く利用することで福利厚生サービスを安く提供可能にした例の一つである。

広報活動の支援サービス
 Vocalは、政府機関や教育機関、企業向けに、広報活動を支援するツールやサービスをインターネットで提供している。新聞や雑誌のクリッピングによる情報収集からメディア・コンタクトの管理、展示会や講演会などイベント向けの広報管理まで、サービスは幅広い。
 インターネットへの接続機能とウエブ閲覧ソフトさえあれば、サービスを利用可能。ハード、ソフトへの初期投資がかからず、維持・管理コストを抑えることができるのが特徴だ。

 以上のように、既存の業務をインターネット対応とし、使い勝手や価値を高めたサービスは今でも生まれている。企業にとって最も必要なものは何か、問題点はどこにあるのかを充分に吟味した上で、自社にあったサービスを導入したい。

■ ライター : 大村智子(ニューヨーク在住)

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