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脚光を浴びるオンライン動画広告

公開日:2007年4月19日

オンライン動画広告をめぐるインターネット関連各社の動きが活発になってきた。ユーチューブ(YouTube)に代表される動画共有サイトの高い集客力を、サイト運営会社は収益に、広告出稿会社はブランド認知度の向上につなげようと懸命だ。とはいえ、始まったばかりの動画広告には業界標準と呼ばれるような規格がなく、いずれも試行錯誤の様相が濃い。キーワードは「ウェブ利用者のイライラ度軽減」と、動画コンテンツに連動させた広告の「ターゲット配信」だ。

―利用者が広告視聴を選択

現在の動画広告は、ウェブ利用者が選んだ動画クリップの冒頭に挿入される10~15秒程度の「プリ・ロール(pre-roll)」と呼ばれる形式が主流となっている。しかし、デジタル録画機が普及し、広告を早送りするテレビ番組の視聴形態が定着しつつある今、たとえ10秒と短くてもプリ・ロール広告に対する利用者の評価は芳しくない。クリップの最後に挿入する「ポスト・ロール(post-roll)」という形式もあるが、クリップの終わった後に、広告をわざわざ見る人がどれだけいるかといった疑問がある。そこで注目を集めているのが、動画クリップと同時に、あるいは動画クリップに重ねるように広告を挿入する方法だ。

ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)サイトに動画アップロード・サービスを提供する新興企業のビデオエッグ(VideoEgg)は、動画視聴者に広告を見るかどうかを選択させる独自の広告モデル「VIBE(Viewer Initiated Brand Experience)」を開発した。動画クリップ再生画面の一部に小さなバナー広告を表示し、視聴者がそれをクリックするとクリップの再生が一時停止され、広告が始まる仕組み。広告が終わるか、視聴者が再生を中止したところで、クリップが再び開始される。視聴者を広告に”招待”することから、「招待ベース広告」とも呼ばれる。「プリ・ロール広告は視聴者をイライラさせるだけで、メッセージのほとんどは無視される」(トロイ・ヤングCMO)が、視聴者が選んだ広告であれば、その効果も高いというのが同社の主張だ。

SNSに登録されたプロフィール・データを分析し、視聴者別の広告のターゲット配信も手がける。また、動画広告は従来、テレビ広告を短く編集したような内容が多かったが、同社のシステムではバナー広告をクリックすると広告出稿会社のウェブサイトに誘導され、あるいはゲーム画面に切り替わったりと、インターネットならではの双方向性が加味された。こうした工夫が奏功し、ヤングCMOによると、あるテレビ番組のバナー広告は、クリック率が7%を超えたという。バナー広告の平均クリック率は1%未満というから、同社広告の潜在顧客に対する訴求効果は抜群だ。

―動画クリップの中身をチェック

誰でも作品を投稿できる動画共有サイトは、広告主にとって油断のならない媒体でもある。著作権を無視した作品や、社会的に問題のある作品に自社の広告が挿入されると、企業イメージが著しく損なわれる危険があるからだ。大手企業が集客力のある動画共有サイトへの広告出稿に慎重になるのも、致し方ない。そこで、一般投稿作品を分析し、内容を確認した上でコンテンツに連動した広告を配信するサービスが登場している。

新興企業のスキャンスカウト(ScanScout)は、動画クリップの音声部分をスキャンして会話に出てくる単語を検出し、それに沿った広告を「タイムリーに提供する」。例えば、野球という単語が登場する画面に野球バッドの広告を配信し、視聴者のクリックに応じて広告を開始する。動画コンテンツが広告主のブランドイメージに合っているかどうかも判断してくれるため、不注意な広告配信で、ブランドイメージが損なわれる心配もない。

ユーミー・ネットワークス(YuMe Networks)は、投稿者が作品投稿時に提出する情報を基に動画クリップを内容に応じて分類し、広告主に広告を出稿したい分類を選ばせる。他にも音声認識技術や手作業でコンテンツを確認している。

ケーブルテレビ局大手MTVとニケロデオン(Nickelodeon)の元幹部が設立したネクスト・ニュー・ネットワークス(Next New Networks)は、広告のターゲット配信とブランド保護の両方を一手に引き受ける、一連の動画サイトを開設した。自動車や漫画などのテーマ別にサイトを開設し、プロが作成した動画コンテンツを中心に展開する。作品は一般の投稿も受け付けるが、同社で内容を精査し、承認した作品だけを公開する。これにより、広告主が安心して広告を出稿できるようにする。これまでにカーマニアのためのニュースプログラムサイト「ファースト・レーン・デイリー(Fast Lane Daily)」、漫画投稿サイト「チャンネル・フレデレター(Channel Frederetor)」など5サイトを開設した。

―待たれる業界標準の策定

調査会社eマーケター(eMarketer)は、米国オンライン動画広告市場は2007年、前年比89%増の7億7500万ドルに達すると予想する。伸び率こそ大きいが、オンライン広告市場における占有率はわずかに4%ほど。動画広告の業界標準規格の策定が、飛躍のきっかけになる。

関連URL:
ビデオエッグ(VideoEgg)

URL http://www.videoegg.com/

スキャンスカウト(ScanScout)
URL http://www.scanscout.com/

ユーミー・ネットワークス(YuMe Networks)
URL http://www.yumenetworks.com/

ネクスト・ニュー・ネットワークス(Next New Networks)
URL http://www.nextnewnetworks.com/

■ ライター : 大村智子(ニューヨーク在住)

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