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【森ビル株式会社】知識社会に相応しい新しい都市のあり方とは

公開日:2007年3月8日

1959年の設立以来、不動産賃貸業を軸に事業展開する森ビル株式会社。いまや、同社の事業は都市再開発事業から文化事業と多岐にわたる。なかでも近年同社が立ち上げたプロジェクト「六本木ヒルズ」「表参道ヒルズ」は、新しい都市づくりのモデルとして国内外から大きな注目を集めた。工業化社会から知識情報化社会へと、日本の産業構造が大きく変化していくなかで、同社はこれらヒルズシリーズに代表されるように、新しい時代、そして未来を見据えた都市のあり方を提案し続けている。
都市再開発を通じて同社が訴えたいこととはなにか。また企業活動やメッセージをどのようにステークホルダーに発信しているのか。今回は、同社広報室長である礒井純充氏にお話をうかがった。


社名:森ビル株式会社
設立:1959年6月2日
代表者:代表取締役社長 森 稔
資本金:10億円
従業員数:1,143名(2006年4月)
事業内容
総合ディベロッパー
1.都市再開発事業
2.不動産賃貸・管理事業
オフィスビル・住宅・商業施設・ホテル
ゴルフ&リゾートなどの営業、運営管理
3.文化・芸術・タウンマネジメント事業
タウンマネジメント、美術館・ギャラリー・展望台
アカデミー・カンファレンス施設・ 会員制クラブなどの企画、運営
URL:http://www.mori.co.jp/


知識社会に相応しい新しい都市のあり方とは

ヒルズシリーズと呼ばれる複合型開発が、同社の代表的なプロジェクトであるが、同社はどのような視点で都市づくりを推進しているのだろうか。

「21年前に完成したアークヒルズの開発にあたり「職・住・遊」を一つにしたコンパクトな街を提案したことが、当社の複合型開発事業の始まりです。いわばアークヒルズがヒルズシリーズの先駆けとなります。24時間365日活気のある街にしていくには、オフィスだけでなく住居や文化施設、教育機関などを集約した都市づくりが必要になるだろう。近い将来、オンオフを切り分けず、時間に束縛されない生活スタイルの時代がくるだろうと30年前に考え、事業を展開してきました。
なかでもインパクトがあったのは、2003年にOPENした「六本木ヒルズ」です。六本木ヒルズは、「文化都心」をコンセプトに、文化、芸術、教育施設の充実に重きをおいたプロジェクトです。文化的要素を取りいれた魅力的な都市づくりは、当社の事業展開におけるコアミッションのひとつだと考えています。」(礒井氏)

都市開発は企画から建物の完成までが全てではなく、出来上がった街を育て、成長させていく過程も重要なポイントとなる。その分、同社事業をとりまくステークホルダーは実に幅広い。事業の成功に深く関わる広報活動は、どのような体制になっているのだろうか。

「当社の広報室はトップの直轄組織です。スタッフは18名おり、大まかな業務の切り分けとしては、国内外のメディアリレーションチーム、および広告やPRツール制作のクリエイティブチームとなっています。
また当社の事業内容上、我々広報室以外にも広報PR活動を行うセクションがあり、例えば六本木ヒルズや森美術館などには、専属の担当者が置かれています。
我々広報室としては、横串を刺すような形で、各施設の広報PR担当者と密に連携を取りながら、コーポレート全体として、広報PR活動の相乗効果を最大限発揮できるように努めています。」(礒井氏)

広報室の豊富なリソースからも、発信するメッセージが多岐にわたることがうかがえる。続いて、日々取り組まれている広報活動についてお話を聞いた。

「特に六本木ヒルズが完成してからの情報発信量は、格段に増えました。例えば森美術館の展示会情報など、当然のことながら当社がコアで手がけてきた、不動産ビジネスとは違うターゲットに情報を出さなくてはなりません。六本木ヒルズの商業施設関連は、流通系のメディアへ。タウンマネージメント分野では、日々様々なイベントを開催しているため、新聞社の写真部や社会部、雑誌社へといったように。ある意味コンテンツには事欠かないのですが、事業範囲の拡大とともに、ステークホルダーごとの戦略が重要だといえます。また、一般の方にはウェブサイトを通じて情報を発信しています。最近の新しい試みとして、ポッドキャスティングを利用した「ヒルズキャスト」という番組を開設しました。街が発する音や空気感のようなものを、よりリアルに伝えられたらと考え、試行錯誤しながら新しいメディアとしての可能性を探っています。」(礒井氏)


都市開発プロジェクトに必要な3段階の広報活動とは

同社のコア事業である「都市再開発」。事業の性質上、プロジェクトのステージごとで、関わりの出てくる対象者が変わってくることも想像される。情報開示において、気を配る点はどのようなことなのだろうか。

「事業の性質上、訴求ポイントは大きく3段階に分かれてきます。
第1ステージとして、開発段階。この段階においては、まず地域の方、権利者、行政の方、パートナー企業への理解が大変重要です。それと同時に世論の動きに目を配ることでしょうか。このステージでの広報活動は、事業を左右する結果になりかねません。第2ステージとして、建設された施設(オフィス、住宅、商業施設など)への入居者や、テナントの方への広報が必要になります。ここでのポイントは、プロジェクトや建物のコンセプトをきちんと伝えることです。完成した建築物の後ろ側にあるメッセージ性を伝える広報活動になります。
第3のステージとして、完成した施設に来ていただく動機付けの広報活動が重要になります。実際に何をやっている施設なのか。どんな内容で、どんな魅力があるのか。プロモーションを通じて、我々のコンセプトを効果的に伝えることが、ここでのポイントですね。
また、六本木ヒルズでは完成までに17年要したように、長期的なスパンのなかで、各ステージに応じた情報開示タイミングがポイントになります。」(礒井氏)


六本木ヒルズは文化の発信基地

同社は今年2月「お木曳(おきひき)」と呼ばれる伝統行事を伊勢市とタイアップで実施。日本の伝統的な文化行事を、最先端の文化ゾーンである六本木ヒルズでとりおこなう画期的なイベントとなった。ここでも同社が意識する「文化発信」が強いメッセージとなって表現されている。このイベントは国内はもとより、海外メディアからも高い注目を集める結果となった。
また、同社が運営する「森美術館」も海外メディアが注目する施設のひとつである。

「森美術館の評判は、国内よりも海外から高いといえます。世界的美術館「MoMA」「ポンピドゥ」などの館長がアドバイザリーボードとして設立から育成に関わっていることが、海外から高い評価を得ている要因のひとつでしょう。先日も、森美術館主催で、世界の主要美術館長によるサミットが開催され、大変な反響でした。」(礒井氏)


都市の安全性を追求

同社が継続的に伝えたいメッセージとして、都市の安全性がある。いつか必ず来るといわれる首都圏の震災。この課題について、同社広報の考えをうかがった。

「首都圏は長年、地震への課題を抱えています。阪神淡路大震災での経験をもとに、早く安全な方向に街づくりを切り替えなくてはならない。耐震についてはこの10年程で技術革新が進歩しています。都市開発を環境破壊という考え方ではなく、都市の安全性を高めるプロジェクトであることを理解していただきたい。安全が壊れてからご理解を得るのでは、遅いわけですから。我々の全ての事業に通じるコンセプトですが、「森ビルは都市をいい方向に持っていってくれているんだな。森ビルは都市づくりのトータルプランナーとして信頼できるな。森ビルは今までにない新しい都市生活の楽しみ方を提供してくれるんだな。」などと思っていただけるように、我々の企業活動自体を通して、訴えたいメッセージを理解していただくことが、最重要課題といえるでしょう。」(礒井氏)

同社は、現在中国の上海に101階建ての超高層プロジェクト「上海環球金融中心」を建設中である。昨今の上海の発展は目覚しく、そのスピードは凄まじい。アジアを代表する国際都市となりつつある上海に、同社は注目している。

「上海環球金融中心は、2008年春に完成予定です。当面は、これから立ち上げまでのプロモーションが大きな課題となります。発展が著しい上海で、我々は特に若い人たちへ向けて「都市づくりのあり方」を理解浸透させたいと考えています。その一環として、現地にインフォメーションセンターを設け、地元の学生だけでなく、中国外からの学生の見学なども積極的に受け入れています。
都市開発は、街をとりまく全ての方への理解が必要です。国内外にかかわらず、常に透明性を持って積極的なコミュニケーションを心がけていきたいと考えています。」(礒井氏)

今回のインタビューを通して、都市開発事業がもつ多面性と、それに関わる様々なステークホルダーの存在を改めて認識した。それと同時に、各方面へのきめ細かい広報活動が必須であることも。
今後も同社事業と広報活動に注目していきたい。


ご担当者様プロフィール

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礒井 純充(いそい よしみつ)氏
森ビル株式会社 広報室 取締役広報室長

1981年4月、森ビル株式会社へ入社。
1987年、社会人教育機関「アーク都市塾」の立ち上げに携わる。1996年、都心での産学教育・研究連携活動拠点「アカデミーヒルズ」事業を提案する。IT関連事業の構想・実施を経て、2003年、「森アーツセンター」、「六本木アカデミーヒルズ」を開設、知的交流拠点「スクール」「ライブラリー」「フォーラム」事業の総合事務局長を務める。
2005年9月、社長室広報部長に就任、
2006年8月、取締役広報室長に就任、現在へ至る。

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