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【常石造船株式会社】積極的な広報活動が、中国特需をきっかけに花開く

公開日:2004年7月15日 | 最終更新日:2013年5月15日

日本の造船業界は、1956年に英国を抜いて世界トップの座を奪った。近年台頭してきた韓国の造船業界と熾烈な競争を行いながら、現在も約30~35%の世界シェアを維持している。
常石造船は、新造船建造量では世界第7位。1995年からフィリピンのセブ島に現地法人を設立し造船所を建造、2004年には韓国大手のサムスン重工業と設計から生産、営業活動にわたる包括的な提携を実現するなど、わが国では唯一といってもよい国際戦略を推進することで他の国内中・大手造船所とは一線を画している。

今回は、同社で広報活動を積極的に推進する立役者である執行役員・経営企画部長の長谷川弘さんにお話をうかがった。

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積極的な広報活動が、中国特需をきっかけに花開く

造船、海運、レジャーなど、国内外約40社のグループ企業を擁する常石グループの歴史は、創業者の神原勝太郎氏が、200トンの石炭輸送船「住吉丸」を購入して海運業を開始した1903年に始まる。
以降、100年の歴史を持つ伝統企業において、1998年に就任した5代目社長の指揮の下、「2010年に常石造船がどうあるべきか」という企業像を追求する「ビジョン2010」がスタートした。現在、同社は、この「ビジョン2010」のもとに、大胆な経営の変革を推進し、「常石ブランドの再構築」に取り組んでいる。長谷川さんが率いる経営企画部は、この取り組みを支える中核部門となっている。

バラ積船の進水式

バラ積船の進水式

中国の国内総生産(GDP)伸び率は9%を越え、2020年には現在の7倍まで増加するともいわれている。4年後の北京オリンピックの成功をめざし国威高揚に力を入れる中国が今や、名実ともに世界の超大国として台頭してきた。 日本にとって中国は、米国に次ぐ世界第2の貿易相手国であり、鉄鋼、化学製品、建設機械など様々な分野で中国向け輸出が急増している。中国との活発な交易は、日本企業の業績を押上げており、その活況ぶりは「中国特需」とも評され、物資輸送に必要な船舶需要も増大してきた。このような背景のもとに、常石造船はわが国の中堅造船業界を代表する中堅企業として昨秋以降、多数のメディアから大きく注目されてきている。

「多くのテレビの番組や、新聞、雑誌の記事で当社がとり上げられて驚いています(笑)。現在建造している船舶は中国特需が盛り上がる以前の3年前に受注したものがほとんどであり、最近の中国特需によるものではありません。ただ、当社は約3年前から中国に造船関連会社を設け生産を開始していること、また常石グループの海運会社が日中間の定期航路を持っていることもあり、中国とのかかわりが深いことから当社がメディアに大きくとり上げられることになったのだと思います」と長谷川さん。

しかし、”たまたま”常石造船が注目されたのではなく、日本経済の大きな関心事である中国特需の盛り上がりという絶好の機会を生かせたのは、経営企画部が設立されてから積極的に展開してきた広報活動の賜物と言える。

「広報機能は、以前は総務部の中にありましたが、昨年、経営企画部が設置され「ビジョン2010」がめざす”情報開示”という命題が与えられました。この命題のもとに地元の福山市政記者クラブ、東京の造船記者会、造船学会などを主な対象に積極的に広報活動を進め、造船業界について再認識してもらうことができたという実感があります。また、造船会社は、国内の製造拠点を重視して海外進出しないというのがこれまでの一般的な業界の常識でしたので、戦略的に海外展開しているわが社の独自性が評価され始めています。さらに、常石が火付け役となったのか、造船業界の他社も最近では積極的に広報を行うようになったと聞いています。」(長谷川さん)

100年企業が取り組む変革プロジェクト

「ビジョン2010」の中で謳われている「常石スピリット」は、「学園祭型カンパニーを目指す」である。「一人ひとりが責任を持って自発的に行動し、お互いが協力し合い、かつ刺激し合って、絶えず笑いとユーモアにあふれた活気ある職場で、みんながいきいきと仕事をすることができる」という企業理念を、誰もが経験したことのある「学園祭」をシンボルに表現したものである。

「全員参加型の学園祭型カンパニーでは、情報開示が非常に重要です。年功序列にとらわれない成果主義を目指していますが、個人の目標設定のためには会社の目標や経営方針が理解されている必要があります。経営企画部は社長直属の部門として設立されているため経営情報を把握しやすく、社長の意向をしっかりと受けとめて広報を展開することができます。また社長自身も情報開示には積極的に努めており、会社の内外を問わず、より深い当社への理解をめざしています。」(長谷川さん)

常石造船では、ビジネスの対象となる顧客が限定されており、また株式の公開企業ではないことから、以前は積極的な広報が必要だとは考えていなかった。しかし、今では、「社員から、顧客から、地域社会から愛される会社になるために」広報を重視している。
社内報は、「t-ねっと」という社内Webサイト、常石造船社員向け社内報「きずな」、グループ全体での情報共有を目的とする「つねいし」の3つ。「常石造船グループで働いているという意識を全員に持ってもらえるよう、パソコンが手近にあるデスクワークの社員だけでなく、現場スタッフにも会社の実態や方向性がわかるように伝えたいと考えています」(長谷川さん)。

また、常石造船の企業Webサイトには、「船ができるまで」「進水式のムービー映像」などが公開されている。「あるツアー会社が、進水式見学ツアーを企画したところ、800人くらいの一般参加がありました。普段は見る機会のない進水式を、多くの人に体験していただいたとともに、進水した船のオーナーにも喜ばれました。長い工期を経て完成した船の晴れ舞台ですから。」(長谷川さん)

「造船は日本が得意とする産業であり、将来の発展につながる仕組みを業界上げて作り上げるべきだ」と長谷川さんの言葉は熱い。「造船というと、とかく3Kのイメージがつきまといますが、これからも、さまざまな広報活動を通じて、造船事業への理解を高めるための牽引役を常石が果たしていきたいと考えています。」(長谷川さん)

常石造船は100年の伝統を持つとはいえけっして歴史と伝統に甘んじず、造船会社の常識の枠を破りビジネス面ではすでに大きな成果をあげている。業界の常識を越えて切り開いた広報活動においても、常にチャレンジを続ける経営企画部の今後の活躍に期待したい。

長谷川 弘 氏プロフィール

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常石造船株式会社 執行役員 経営企画部 部長
九州大学で造船学を専攻し、1978年卒業後、常石造船株式会社に入社。
造船設計部船装設計課 主事、生産設計部船体設計グループリーダー、船舶設計部次長兼船装設計課長、船舶設計部長、艤装部長などを経て、2003年、新しい「ビジョン2010」を推進する中核組織として設立された経営企画部の部長に就任。
2004年4月経営企画本部担当執行役員となり辣腕をふるっている。

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