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記者クラブは開かれるか

公開日:2007年2月16日

 「より開かれた存在に」――日本新聞協会は1月23日、全国の記者クラブの基本指針となる新見解を4年ぶりに打ち出しました。一定の実績を持つジャーナリストへの門戸の開放、記者室利用に伴う諸経費は報道側が応分に負担する、などの内容が盛り込まれています。それ以前の協会の見解発表は1978年ですから、インターネットの普及がハイペースで報道機関に変遷を促したかを示す出来事といえるでしょう。でも、一般には記者クラブとは判りにくい存在。「今まで経費を払っていなかったの?」「そもそも記者クラブって何?」という疑問もわいてきます。記者クラブとは、どんな組織なのでしょうか。

そもそも、記者クラブとは
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(撮影/経済通産省ペンクラブ)

中央官庁や各都道府県庁、市、または業界団体内には記者室が置かれ、新聞・通信社・放送局が構成する「記者会」の記者が常駐しています。97年の日本新聞協会で、クラブは記者会の「取材拠点」として位置付けられていたため、物理的なスペースとしての記者室と記者クラブが同一視される傾向がありましたが、両者は似て非なる存在。今回の新見解ではクラブを「取材・報道のための自主的組織」、記者室をワーキングルームと区別しています。

記者室は各社のブースに机や電話がひかれ、リリースの投げ込みや記者会見はここで行われます。受付の人件費、光熱費、通話料、新聞の購読費は公共機関や団体が負担しており、少数の例外を除き、加盟社は無償で利用しています。公的機関には国民への情報開示義務と説明責任があり、報道機関は国民の知る権利を代行しているという構図です。ともかく、広報担当者にとって記者クラブは情報提供の便利な窓口であり、クラブ加盟社の記者との懇親会、年始の挨拶などは年間スケジュールとして恒例化していました。

「閉鎖的」「特権意識」の批判
記者クラブへの批判は多々ありますが、ここでは民間企業の広報担当者からの意見を紹介します。広報担当者にとって便利な記者クラブですが、記者会の運用ルールに従うことが前提。加盟社への情報提供は「公平」が鉄則ですから、ポストへのリリース投函は同時間帯に、記者会見は記者会のスケジュール調整が優先します。
さらに地方の記者クラブはローカル・ルールがある場合も多く、事前に確認が必要です。先日も、東京都内のPRエージェントが東北地方の記者クラブにクライアントとともに突然現れ、「今、お手すきの記者だけで結構ですから」と当日会見を申し入れ門前払いを食ったという非常識なエピソードがありました。
しかし、常識という点では、記者クラブも怪し気です。例えば、ある民間記者クラブでは、発表の48時間前までに、クラブのポスト(全社に用意されています)にリリースを投函しなければならない。48時間というのは、朝刊だけの新聞、朝夕刊発行の新聞、放送局すべてが「公平」に報道するために最低限必要な猶予です。
投函が無ければ、どこの社が単独で記事にしても良いとみなされます。クラブの報道協定に協力させている訳ですが、担当者に「もし他の社に抜かれたら、ウチで記事を掲載する見込みは低いですよ」というプレッシャーを与えることで成立しているルールといえます。
このクラブでは、記者の接待旅行も恒例化しており、新聞の購読料なども含めると年間数百万円の運営コストがかかっています。これだけでも一般の目には不公平ですが、クラブ加盟社による記者クラブの独占、加盟社の報道協定など、記者クラブ自体が自由な情報の流通を阻害している感は否めません。

脱・記者クラブの動き
 新聞協会より早く、記者クラブの在り方を見直そうという動きがあります。1996年に鎌倉市が記者クラブを「広報メディアセンター」として非加盟社にも提供したのに続き、2001年には田中康夫・長野県知事が「脱・記者クラブ宣言」として県政クラブを開放しています。インターネット上の記者クラブも登場しています。登録さえすれば、リアルの記者クラブのような報道協定もなく、原則として誰でも自由に情報提供/閲覧ができます。ただし情報のクオリティ、信頼性をチェックする機能はありません。また、ネット上で公開された時点で、取材側にとっては「ニュース」ではなく参考資料としての価値しかなくなります。 批判や意見はあっても、記者クラブはメディアにとっては便利な存在であり、広報担当者もリアルのメディア・リレーションを作れるメリットがあります。記者クラブ改革をリードしていくのは協会の方針よりも、ニュースソースの発掘に貪欲な記者と、メディアのニーズに敏感な広報担当者かもしれません。

■ 取材・原稿 : 富永 周也      
(News2u 広報アドバイザー)

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