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神谷町ではたらく広報マンの独白(24)PRプランナー資格試験「広報・PR計画の立案作成」について

公開日:2009年6月11日

PRプランナー資格試験「広報・PR計画の立案作成」について

先月に引き続き、PRプランナーの第3次試験について話をしてみたい。前回は、「課題A ニュースリリースの作成」について論じたが、今回は「課題B 広報・PR計画の立案作成」に的を絞ることにする。なお、前回もおことわりしたのだが、本稿は合格者の一人である私の経験にもとづくもので、こうすれば絶対に合格という”虎の巻”ではない。あくまで筆者の経験談として参考にしてほしい。

実践技能の評価が目的

3次試験の目的は、タイトル付けられているとおり、「広報・PRに関する実践技能」の評価にあるといってよいだろう。
1次試験は「広報・PRに関する基本的な知識、2次試験は「広報・PRの実務に関する専門知識」である。”基本”と”専門”のレベルの差はあるが、いずれも広報全般に関する知識を問われる試験なのだ。それに対して3次試験は”実践技能”の評価が目的である。受験資格は2次試験の合格に加えて”3年以上の広報・PRの実践経験者”とあり、実務経験が重視されている。1次、2次の試験準備は参考図書を熟読すること、かつまた普段から新聞やテレビのニュースを注意しておくことだが、3次はそのような知識の習得では対応しきれないところがある。
ただ、見方を変えれば、実務経験のある受験者にとっては経験が生きるという意味で有利ともいえるのだ。私自身が試験全体を振り返ってみても、いちばん結果に不安があったのは2次の「科目D 時事知識」だった。なぜなら、1年間にさかのぼった世の中の出来事などそんなに確かに覚えていないからだ。幸いにも一回の受験で合格できたのは、まだ運がよかったのだろう。それに対して、3次試験には今までの経験から、何の準備も行うことなくかなり気楽に臨めた。

「コーポレート課題」と「マーケティング課題」

3次試験の「広報・PR計画の立案作成」では、「コーポレート課題」と「マーケティング課題」から課題が示され、そのいずれかを選択して回答することになる。
私が受験した第1期の3次試験においては、コーポレート課題は国内大手自動車会社の合併、マーケティング課題は香料の入ったガムの新製品の市場化がテーマだった。コーポレート課題は国際的にも業界的にもインパクトの強い企業提携の発表を通して、いかに会社のレピュテーションをステークホルダーに対してポジティブに高めることができるのか、マーケティング課題は新製品の市場認知を以下に形成し販売促進に結びつけられるかが大きなテーマだったと思う。
私は、自身の経験からコーポレート課題を選んで、報道対応を軸に企画案を作成した。マーケティング課題を選択するのであれば、報道対応のみならず広告宣伝的な手法も駆使した企画を作成してもよいように思える。

解答は実行計画案を作成すること

広報の計画は、短中期的なサイクルでみると広報目標や広報戦略、年間や半期、四半期の広報計画の作成という区別がある。ただ、PRプランナー試験で求められているのはそんな短中期的な計画ではなく、あるテーマに対応するための実行計画(アクションプラン)なのだ。そのテーマにあった目標を設定し、その達成を実現するための具体的な活動を計画し、それを試験時間のうちに要領よくドキュメント化して提出することだ。

企画立案におけるポイントは?

実際の広報ビジネスの現場で広報・PR活動に従事する方々からは、実に様々な提案がなされる。報道対応(パブリシティ)に重点をおくもの、新聞や雑誌、テレビ等の広告に重点をおくもの、はたまたインターネットを活用したプロモーションに重点をおくものなど、実に多様である。提案書も厚く、色刷りで丁寧に作成されるケースもみかける。
ただ、あくまで”試験”という観点からみると、色刷りや体裁に凝ることは採点の対象にはならないだろうし、まったくの広告プランだったり法外に予算を必要とする企画でなければ、どのような活動の分野に重点をおいた企画かは受験者の独自性にまかされることになると思う。広報というと(パブリシティ)中心に計画を考えがちだが、計画内容の自由度は高いように思える。
3次試験の採点のポイントは、(1)的確性、(2)戦略性、(3)実現性、(4)独自性・適切性、(5)論理性・構成力、とのことだ。以下は、私が企画案を作成した時のポイントである。コーポレート課題を選択したので、マーケティング課題の企画立案とは少々差異があるだろうが、参考としてみてほしい。

(1)ステークホルダーの想定

パブリシティ活動における直接的な対象は、メディアである。ただ、メディアの向こう側には読者や視聴者がいることを忘れてはならない。最終的にどのような人々にメッセージを伝えたいのかによって、対象とするメディアの選定や、発信するメッセージ内容が異なってくる。
私が受験したコーポレート課題の自動車会社の合併では、自動車業界関係者やその会社の株主と投資家、そこではたらく従業員等を想定し、それぞれに対するメッセージを考えた。業界関係者には提携を通じたその会社の影響力の拡大と、業界リーダーシップの強化・確立を、株主に対しては将来に向けた企業価値の増大の可能性を、そして従業員にはリストラのない安定的な経営基盤の確立、といった具合にである。

(2)各種の活動を効果的に組み合わせること

広報活動といっても、単に記者発表会を一度実施すればよいというものではない。
企業コミュニケーションの具体的な活動には、ニュースリリース、記者発表会、企業戦略説明会、決算説明会、決算短信、個別取材、Webサイト、社内報やイントラネット、記事広告、株主向け通信等、さまざまな方法が存在する。
大きな発表においては、メディア対象の記者発表会やトップ取材の設定を中心に持ってきても、他の活動も同時に計画し、最大限の効果を計画する必要がある。従業員に対しては、トップからの社内向けメッセージの発信、マネジメントラインやイントラネット等による説明、株主に対してはアナリストを対象としたスモールミーティングの設定や個別の取材対応、株主向け通信による説明、さらに会社のWebを通じた会社意思の表明など、さまざまな活動を組み立てる必要がある。
そしてこれらの活動について、発表の前後を通して綿密にスケジュールし、さまざまな活動が相乗的に効果を発揮する戦略的なプロジェクトとして実施を計画せねばならない。企業の中で実際に広報を経験した方々であれば、おそらくどういう段取りが必要かは見当がつくだろう。これはマーケティング課題の企画立案でも同様だ。

(3)簡潔に企画案をまとめること

あくまで試験なのだから、PowerPointが使えるからといって体裁に凝る必要はないだろう。ツールはWordでも、Excelでも、PowerPointでも、受験者各位が使いやすいものを使えばよい。
企画の表現法は、目標、対象ステークホルダー、広報メッセージ、具体的な活動の項目とその内容、準備する広報資料リスト、それぞれの活動の実施スケジュール、社内体制、その他の留意事項等を箇条書きでまとめればよいと思う。
実際に、私の場合は、Wordを使ってこれらの項目を簡単にまとめただけであり、文章の量としては、A4
判で1ページ少々でおさめた記憶がある。PR事業に携わる方々は、顧客向けの提案にさまざまな要素を盛り込み、魅力的な提案書を作成されるのだろうが、実際のビジネスでは必要かもしれない。あくまで、PRプランナー試験では、簡潔明瞭な解答の作成が重要ということをお伝えしたい。
以上、私が「広報・PR計画の立案作成」にあたって注意したことを、簡単にではあるが3点にわたりあげてみた。本試験は、ある課題設定のもとに広報プロジェクトを構想し、シミュレーションした実施内容をドキュメント化することである。
私の場合、計画を考えることはアタマの訓練にもなり、けっこう楽しく試験に臨めた覚えがあるくらいだ。受験される方は、あまり深刻に考えることなく、自由な発想で取り組んでいただければと思う。

神谷町の広報マン 愛称:マーベリック
外資系IT企業で広報マン17年、PR系企業におけるコンサルタント生活3年を経て、現在は神谷町にある金融会社にて広報を担当。広報マンとして20年余を過ごす。広報の仕事と、赤ワイン、クルマ、そして年に数回に過ごす軽井沢での静かな生活をこよなく愛する。独自の視点から広報を語り、広報の仕事に携わる後進の成長に貢献したいと考えている。


■神谷町ではたらく広報マンの独白

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