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神谷町ではたらく広報マンの独白(21)新創刊された「広報会議」についての感想

公開日:2009年2月19日

唯一の広報専門雑誌

書店へ行くと、本当に多くの書籍や雑誌が並んでいることにいつも感心してしまう。ただ、広報の業務にかかわる ものはそれほど多くはない。わが国で企業が広報についての関心を深め、組織的にも強化しようと取り組み始めた のは1980年代だろうし、現在でもPR業界の市場規模はまださほど大きくはない。広報に関する出版物も、なかなか採算に乗りにくいのは、否定しがたい事実だろう。
そんな出版事情のもとで、「広報会議」はわが国でほぼ唯一といってもよい広報の専門雑誌である。元々は「PRIR 」という誌名で2005年に創刊されたのだが、今年から「広報会議」と改名し内容的にもリニューアルされたようだ 。
この雑誌は、広報やPR、さらにIRといったコーポレート・コミュニケーション活動に携わる人々を主な読者として編集されている。実際に広報の仕事に携わっていて私も感じていたのだが、広報の世界をカバーする情報源は極めて限られている。日本パブリックリレーションズ協会や経済広報センターといった団体が広報に関する書籍や資料の出版をしているくらいで、時々、新しい書籍は見るけれど、ニッチな市場である広報関連の分野に積極的な進出 をはかる出版社はないのが現状だろう。そういった意味で2005年に刊行された「PRIR」は、広報に関する貴重な情報源であった。
ただどうしても雑誌の編集にとってマンネリ化はつきもの。私も「PRIR」を創刊号から2年程 は毎号を購入していたのだが、一年ほど前からは本屋で立ち読みするくらいになってしまった。広報担当者に女性 が増加していることに配慮してだろうが、女性誌的でソフトな雰囲気となり読みやすい半面、もう一歩踏み込んだ内容への期待感を持っていた。

「PRIR」とどう変わったか?

編集部でもそのようなことが課題にあったのかもしれない。リニューアル第一号となる「広報会議」2月号は見落としていたのだが、二号目となる3月号を購入して読んでみた。
判型は「PRIR」と同じ変形A4判と変わらないが、ページ数が16ページほど増えたようだ。後述するが、その増ペー ジは特集の充実につながったように思える。表紙については、ポリプロピレンで表面加工し光沢を出すPP加工をやめた。本文を印刷する用紙の品質も少々落としているようだし、3月号を見る限り、「PRIR」の頃よりもカラーページが少なく なったのではないだろうか。「広報会議」とリニューアルし増ページしても制作コストが上がらないよう苦心しているのを感じる。
読んでみると内容的には、「PRIR」と比べて「特集」を充実させているようで、格段に読み応えがあるようだ。3月号は、特集が3本立てとなり、それぞれにかなりのボリュームを割いている。これだけの厚みのある特集を組み、きちんと執筆された原稿を集めるのは、編集部としてはかなり苦労したのではないかと思う。

充実した特集記事

書籍と異なる雑誌の使命は、その時々の状況にフレキシブルかつタイムリーに対応し、その状況を読み解く新鮮な視点を読者に提供することだろう。昨秋のリーマンショック以降、わが国の経済や産業はあっという間に大きな変貌をとげ厳しい時代に突入したのだが、3月号の冒頭に掲載された座談会記事「不況下に信頼される広報とは」と 巻頭特集「リストラ」は、このご時世柄、実にタイムリーな企画であると思った。
経済が好調で企業も急速に成長をとげる時期と、今回のような100年に一度といわれる経済危機の時代では、おのずから広報担当者のスタンスは異なってくる。座談会の記事では立場が異なる4人の出席者がそれぞれのスタンスから不況をどのようにとらえて、何を意識して広報に取組んでいるかを示したことは、自身の考え方を顧みる上で参考になった。不況をネガティブかつ悲観的にとらえるのではなく、次のステップに向けたチャンスの時期とポジティブにとらえる視点は重要である。やはり広報は、人よりも一歩先を見る視点を持ち、ステークホールダーへのコミュニケーションを通じて状況を前向きに転換させる起爆剤とならねばいけないからだ。
また、別の特集「広報業務と著作権」では、なかなか理解が難しい著作権について、わかりやすく解説していたと思う。企業にとって欠かせないクリッピングや報告という業務で行っている「複写」という行為が、著作権を侵害していることに気がついていない広報関係者も少なくないだろう。
特集では、まず日常の業務で広報担当者が不安に思うことを取り上げ、さらに導入をクイズ形式にして著作権に関する読者の注意を喚起する。その上で、違法行為となる実例を指摘するとともに、法律に関する基本的な解説も丁寧に行う。そして、どのように業務に取組めば法的な違反を回避できるかその方向性を示すという構成は、理解しやすく好感が持てた。
広報の業務において、著作権を尊重する度合いは企業によって異なるだろうが、CSRやコンプライアンスが今までにないほど喧伝される現在、もはや著作権については無視できない。この特集は、著作権に関する知識や対処を整理しており、問題に前向きに取り組む広報関係者に解決への手がかりを提供する実用性に富んだ記事になったと思うのだ。
さて、「広報会議」の新創刊は、広報専門誌として大きな発展と認識している。毎号、充実した誌面つくりは容易ではないだろうが、ぜひこれからも頑張っていただきたい。何しろ、わが国では唯一という広報専門誌なのだから。

神谷町の広報マン 愛称:マーベリック
外資系IT企業で広報マン17年、PR系企業におけるコンサルタント生活3年を経て、現在は神谷町にある金融会社にて広報を担当。広報マンとして20年余を過ごす。広報の仕事と、赤ワイン、クルマ、そして年に数回に過ごす軽井沢での静かな生活をこよなく愛する。独自の視点から広報を語り、広報の仕事に携わる後進の成長に貢献したいと考えている。


■神谷町ではたらく広報マンの独白

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