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神谷町ではたらく広報マンの独白(19)「フジサンケイビジネスアイ」の新たな挑戦

公開日:2008年11月28日

日刊紙の「フジサンケイビジネスアイ」というと、その前身は「日本工業新聞」である。
BtoB系の広報担当者の中には、「日経産業新聞」や「日刊工業新聞」とならぶ重要メディアとして、自社関係の記事の掲載に力を入れて来られた方々も多いと思う。
3年程前に編集方針を変更し、「日本工業新聞」から「フジサンケイビジネスアイ」へと、名称とともに紙面も一新した。それが商業的に成功したかどうかは知らないのだが、同紙はこの10月にまた大幅な紙面刷新を行ったのである。
この紙面刷新にあわせたタイミングで、同紙の編集局経済部長にその狙い等の話を聞く機会があったので、簡単に紹介したい。

紙面刷新の3つのポイント—「産業」「金融」「海外」

この10月に断行された「フジサンケイビジネスアイ」の紙面刷新のポイントは3つあるという。
新しい「フジサンケイビジネスアイ」を簡単に言ってしまうと「予見性」をキーワードに「産業」「金融」「海外」を3本柱に据えた「総合ビジネス金融紙」と定義づけているとのことだ。
すなわち、第1はグローバルな経済情報の提供、第2は企業・産業情報の充実、そして第3は充実した金融・投資情報の提供を主眼とした紙面作りを行っていくようだ。
紙面における記事構成の指針となる編集方針にいろいろな要素を盛り込むことは、ターゲット読者の分散を招くのではないかという声もあったようだ。
しかし、話を聞いた経済部長によると、この3つのポイントは現代では不可分の領域であり、総合的に提供することにより今までに得られなかった新たな読書層の獲得を期待しているとのことである。
3年前の「日本工業新聞」から「フジサンケイビジネスアイ」への刷新は、ビジネスマンを主要な読者層に設定したことがみてとれた。その結果、BtoB系企業の広報からは記事を掲載してもらいにくくなったとの反響を聞いたことがある。
編集方針の変更は、当然広告を出稿するクライアント企業の計画にも影響する。
結果として広告量が伸びたかどうかは知らないのだが、今回の紙面刷新では、従来の編集方針に関する評価のもとに、再び産業重視の方向を打ち出したという。
例えば、中堅・中小企業、エネルギーや環境をはじめとする産業別の面や新商品の紹介面を設けたという。また”経済の血液”ともいわれるマネーを取扱う「金融」を重視するという。
日本経済新聞社は「日経ヴェリタス」を創刊し、投資家向けの情報提供に力を入れているが、その影響もあるのかもしれない。
いずれにしろ金融や投資、経済に関する情報は読者のニーズが高いとの認識のもとに、紙面を充実させる柱として力を入れることになるようだ。
金融とあわせて海外重視という観点からは、経済情報の提供に定評のある米国ブルームバーグ社と特別に提携し、海外からの情報の報道も重視するとのことだ。
このため、約100人の記者の1割にあたる10人が翻訳を担当するという。また「オックスフォード・アナリティカ」という国際的な分析機関とも独占的に提携し、将来動向の予見に役立つ海外情報を日本語にして提供するとのことだ。
以前、サンケイ新聞とフジサンケイビジネスアイの記者は別々であったのだが、編集局の経済本部では一人の記者が両方の媒体の方針にあわせて書き分けるという。
日本経済新聞と日経産業新聞は以前から同じ記者が両紙に執筆しているのだが、サンケイも同様になるようだ。
企業サイドからみると、内容に応じて両紙に掲載される可能性が高まったとして、歓迎できる変更のように思える。

「予見性」の重視

テレビやWeb報道の優位性である「スピード」に対向するために「予見性」を重視した紙面作りを行うという。
たとえば、企業提携を報ずる記事には、提携する両社の株価のグラフもあわせて載せたり、ものごとの先読みに役立つ「予報図」という記事も用意しているとのことだ。
「予見性」をキーワードに、事実を報道する記事を側面から補完し、先読みを容易にするいろいろな情報を提供できるよう配慮するなど、日刊紙として読者をひきつけるいろいろな工夫が盛り込まれているという。

「タブロイド版」と横組みの採用

経済部長氏によると、今回の紙面刷新は、「リニューアル」というよりも「新創刊」の心意気で臨んだという。
このため、紙面を従来の新聞と同様の「ブランケット版」からコンパクトな「タブロイド版」に変更し、文字組みも横書きとすることにより、従来の「フジサンケイビジネスアイ」のイメージを完全に払拭した。
欧米ではタブロイド版の新聞はかなり普及しているが、日本では「夕刊フジ」や「日刊ゲンダイ」等、まだそれほど多くはない。
ただ、混雑した電車の中で記事を読むことを考えると「ブランケット版」よりも「タブロイド版」のほうが扱いやすく普及の可能性は大いにあるだろう。

存亡をかけたチャレンジ

今回の「フジサンケイビジネスアイ」の紙面刷新は、成功すれば新たな読者層を獲得し、販売部数を大幅に伸ばせるかもしれない。
しかし、思ったとおりに読者にヒットせず、反対の結果に陥るリスクもある。
日本経済新聞をはじめとした従来の日刊新聞とインターネットが生んだWeb系ニュースメディアがしのぎを削るニュース報道の世界において、
「フジサンケイビジネスアイ」にとっては、将来に向けた存亡をかけた大きなチャレンジであることに間違いはない。
報道と向かいあう広報の立場からも、その動向は注目に値するだろう。

神谷町の広報マン 愛称:マーベリック
外資系IT企業で広報マン17年、PR系企業におけるコンサルタント生活3年を経て、現在は神谷町にある金融会社にて広報を担当。広報マンとして20年余を過ごす。広報の仕事と、赤ワイン、クルマ、そして年に数回に過ごす軽井沢での静かな生活をこよなく愛する。独自の視点から広報を語り、広報の仕事に携わる後進の成長に貢献したいと考えている。


■神谷町ではたらく広報マンの独白

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