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神谷町ではたらく広報マンの独白(17)広報・PRの視点からみた北京オリンピック

公開日:2008年9月17日

北京オリンピックの閉幕

華々しい閉会式とともに、世界204か国より1万人以上のトップアスリートが参加した北京オリンピックが閉幕した。先月は世界中の目が、このスポーツの祭典を観るため、開催国の北京に集まったのである。
北京オリンピックに関して、中国政府の力の入れようは凄まじいものだった。「鳥の巣」と呼ばれる国家スタジアムをはじめとした競技施設の建設や公共関連の整備など、当初は会期に間に合うか心配されたのだが、突貫工事ともいわれるスピードで間に合わせた。
環境問題についても、ナンバープレートの奇数・偶数により、市内への自動車の乗り入れを制限するなどの対策により、海外からの批判をかわすのにやっきであったようだ。
特に出場選手の養成には相当に力を入れたのだろう。金メダルは51個を獲得し、銀と銅をあわせた中国のメダルの獲得数は100となり、米国やロシアを凌駕した。まさに北京オリンピックは、開催国中国の独壇場だったといえる。
なぜ、これほどまでに中国は、オリンピックの開催に力を入れたのだろうか。膨大な国費を投入したはずだし、事業として採算がとれたとは思えない。大きな支出は国家財政を圧迫しているはずだ。にもかかわらず、なぜ中国は総力を挙げてオリンピックの開催に邁進したのだろうか?

オリンピックはPRイベント

なぜならば、オリンピックは大規模なスポーツイベントであると同時にPRイベントでもあるのだ。
PRとは、企業でも個人でも、まず自己を何らかの方法でアピールし、対象となる人々の関心を惹き、理解してもらい、そして認知され認められることが大前提となる。自治体や地域によるスポーツイベントの開催は、地域振興の手っ取り早い方法なのである。
たとえば国内では、マラソン大会のようなイベントは全国各地でほぼ毎週のように開催されている。参加者や観衆を集めることを通じて地域に関心を持たせ、どんなところか理解させ、この地域はよいところだという評価を得ることが目的なのだ。
もし、目新しい何かがあれば、メディアを通じて報じられ、日本中の注目を集めることもできる。
4年に一度のオリンピックは、そんなイベントの中でも、世界で最も大規模かつ国際的なものだろう。
マラソンでは北京の街並みや風景が各国のテレビで流れ、競技の結果は多数のメディアで報じられ、中国という国家に世界の目が集まる。競技において中国の選手が大活躍すれば、”中国はすごい国だ”というイメージを世界の人々に与えられる。
かつて中国といえば、人口は多いが科学技術や経済は先進国の後塵を拝している国のように思われていた。政治経済的には社会主義を標榜し、世界からは孤立していたのである。
それが、国策を転換し開放政策を推進し、他国との経済的な交流をはかりつつ世界の製造基地としての役割を果たすことにより、経済の発展を追求してきた。
努力の甲斐あって経済的にも大きく成長をとげた中国は、西側諸国と肩をならべる一流国としてのステータスを獲得することが悲願だったのだ。
その成功を通じて、国際的にも国内的にも、その存在感と威信を全世界に示し、中国の国際的地位を大きく高めようというのが、中国政府の意図であったはずだ。
広報・PRの視点からみても、これほどまでに効果をあげたイベントは未だかつて存在しなかったようにも見える。中国政府の狙いは、見事に達成されたかのようである。

オリンピック報道の陰には・・・

ところで、報道の陰に隠れた一つの事実に注意しておく必要がある。
一部のメディアが指摘したのだが、オリンピック報道は中国政府の完全なコントロール下に行われていたことだ。中国のメディアは、政府が定めたガイドラインにそって報道することが求められ、批判的な内容を報じることは許されなかったという。
海外のメディアも、自由な報道が制限されたようだし、インターネットの利用に際してもアクセス先が制限されたという。
中国では、米国や西欧諸国において民主主義の基本的な権利とされる言論・出版 ・報道の自由はやはり存在しておらず、中国の報道は政府の意向にそった”プロパガンダ”とみなさねばならない。うがった見方をするならば、すべての報道を鵜呑みにすることはできないし、報道されなかった出来事も相当にあったのではないかとも想像してしまう。
華やかな報道に溢れた北京オリンピックだが、圧倒的な成功を鵜呑みにする前に、言論・出版・報道の自由を基盤として成り立つジャーナリズムを相手とする”広報・PR”と、政治的な意図の見え隠れする”プロパガンダ”の相違を意識する冷徹な目を持つことも、広報・PRに携わる人々にとっては大事に思われるのだ。

神谷町の広報マン 愛称:マーベリック
外資系IT企業で広報マン17年、PR系企業におけるコンサルタント生活3年を経て、現在は神谷町にある金融会社にて広報を担当。広報マンとして20年余を過ごす。広報の仕事と、赤ワイン、クルマ、そして年に数回に過ごす軽井沢での静かな生活をこよなく愛する。独自の視点から広報を語り、広報の仕事に携わる後進の成長に貢献したいと考えている。


■神谷町ではたらく広報マンの独白

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