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神谷町ではたらく広報マンの独白(12)テレビ取材の対応はどこが難しいのか

公開日:2008年3月18日

先日のことだが、勤務している会社の事業に関連して、テレビ局の取材を受ける機会があった。インターネットの発展を背景に、様々なメディアが発揮する影響力は大きく変化しているが、広報活動の対象としてテレビが重要なことはいうまでもない。特に、地上波のキー局の番組は視聴者も多く、上手く対応できるならば広報効果の高いメディアである。
久々にテレビの取材をアレンジしてみて、新聞や雑誌等の印刷メディアに対する対応との相違をあらためて意識した。今回は、この点について触れてみたい。

■テレビの持つ強力なインパクト

テレビの番組は、当然のことながら放送時間の枠が決まっている。ほとんどのニュース番組は、数分からせいぜい数十分だ。この限られた時間の中で、何本ものニュースが次々と放送される。一つのトピックスを掘り下げる特集でもない限り、一本のニュースにかけられる時間はせいぜい十数秒だ。
この短い時間のなかで映像とナレーションにより、出来事をシンプルかつわかりやすく紹介しなければならない。このため、視聴者に伝えることのできる情報量は極めて限られている。
それにもかかわらず、映像による視覚的な情報の提供は、その印象深さによって強力なインパクトがあり、テレビの広報対象としての優位性を支えている。映像が中心であることがテレビの大きな特徴であり、取材対応にあたっては十分にこの点を考慮しておく必要がある。

■取材の事前準備が重要

事実報道を主眼とした短時間のスポットニュースには、企業の広報担当が介在する余地はほとんどないかもしれない。広報担当が最も力を発揮できるのは、あるテーマのもとに企業等に取材がもちかけられる”特集”のようなケースだろう。
先日、私が対応した取材の目的は、会社の事業を取り上げるこのような”特集”の制作であった。約30分の特集における10分程度の部分で、事業の概況や戦略を取り上げたいとのことだ。
10分間という時間は、1つのテーマに1社が割り当てられる時間としてはかなり長いほうである。この10分間を映像とデータ、ナレーションで構成するのだが、ディレクターの要望を聞きながらこの取材をサポートするのが私の仕事であった。
この過程で当方からアピールしたいポイントを収録内容にどれだけ含められるかが広報としての勝負だった。実は、ストーリーのほとんどがこの時点で組み立てられており、そのストーリーをうまく表現するための映像収録やデータ等の提供が求められていた。
ただ、これは取材を受けるわれわれ側の意図とは必ずしも一致しなかった。そこで、ディレクター側の意図をうまく汲みながら、当方の意図も伝えられる映像やデータを採用してもらえるよう、取材の流れを現場で変えることがいちばん苦労した点である。
その上で、トップのインタビューや社内の映像収録に臨み、数々のシーンを設定した。後でベストの映像を選択できるよう収録にかなりの時間を要する。それに忍耐強く対応することも広報マンの務めである。
今回、結果的には当方の要求もかなり採り入れていただくことができ、それなりに上手く運ぶことができたと思っている。

■テレビ取材対応のポイント

実は、現場でこのような判断と取材者側との折衝を行うためには、事前の情報収集が不可欠だった。今回は事前に、取材企画書、場面設定を示す文書を送ってもらい取材の流れを検討、さらにディレクターに来社いただき不明だった点を確認の上、取材への協力を決定した。現場におけるディレクターからの要求に対しても、事前の想定のもとに対応できた。
一般的には、取材の依頼を受けたらまず企画書や取材シナリオ、場合によっては取材場面の設定を確認するラフなコンテの提出も求めることも必要だ。その上で、こちらから提供できるデータや収録可能な映像をあらかじめ確認しておき、取材の立会いに臨まねばならない。多くの視聴者の目にふれるテレビ番組だからといって、決してディレクターに気後れしたり、遠慮する必要はない。自社の利益に好ましくないストーリーや映像が放送されることは、広報担当としては失格なのである。
新聞や雑誌ならば、取材後に気になる内容についてフォローでき、原稿に反映してもらうことができる。メディアによっては原稿の確認さえ許してくれるケースも少なくない。すなわち新聞や雑誌などの印刷メディアは、比較的、取材後の対応がしやすいのである。
それに対して、テレビ取材は映像の収録が中心なので、事後の対応が難しいことを意識して臨む必要がある。収録された映像の見栄えがよくないからといって撮りなおすことはできないし、コメントを録音しなおすことも難しい。取材の現場での咄嗟の判断と対応、そのための事前の準備を徹底することがテレビによる広報効果を高めるポイントだと思う。
今回の取材にもとづく番組は、間もなくオンエアの予定。シナリオは事前に確認していても、編集の過程で変更がないとはいいきれない。十分な準備を重ねて収録に臨み、放送されて、その内容を確認して、問題なければ始めてOKというのが、テレビ取材への対応の難しさである。
なお実は、今回の取材メディアはNHKである。NHKの場合、原則的に取材を受ける側の会社名や個人名は放送で紹介されない。ロゴや社名の入った小物等を以下に映像に映りこませるかも、注意するところであった。

神谷町の広報マン 愛称:マーベリック
外資系IT企業で広報マン17年、PR系企業におけるコンサルタント生活3年を経て、現在は神谷町にある金融会社にて広報を担当。広報マンとして20年余を過ごす。広報の仕事と、赤ワイン、クルマ、そして年に数回に過ごす軽井沢での静かな生活をこよなく愛する。独自の視点から広報を語り、広報の仕事に携わる後進の成長に貢献したいと考えている。


■神谷町ではたらく広報マンの独白

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