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神谷町ではたらく広報マンの独白(10)CSR(企業の社会的責任)と企業コミュニケーション

公開日:2008年1月17日

■企業に関する不正報道の増加

かつてコンピュータ会社に勤めていた頃、イベントの仕事でよく名古屋へ出張していた。名古屋へ行くと、お土産として度々利用していたのが、和菓子の「赤福」である。
手頃な価格で購入でき、食感もよいのでよく買って帰った記憶がある。
  
今、その赤福が揺れている。
未出荷や売れ残りの商品を冷凍保存し、再包装して製造日や消費期限をいつわる「まきなおし」、冷凍保存しないままの商品の製造日や消費期限を偽り、餡や餅の再利用など、食品の取扱いにおける不正な手口は多くの項目に及ぶという。
赤福だけではない。
伊勢土産の赤福とよく似た和菓子の「御福餅」でも、製造日の偽装が発覚し、お詫びの記者会見が行われたようだ。
少し前だが、秋田では名産の比内地鶏の賞味期限の改ざん、北海道の菓子メーカーでも同様な問題が発生している。今年を振り返ってみても、豚肉等を混ぜた牛ひき肉を100%牛ひき肉と偽って出荷していた北海道の会社の事件など、食品の偽装事件が際限なく続いている。
毎日、新聞を見ていると企業の不正に関する報道が後を絶たない。
会計処理の不正や、個人情報の漏洩など、枚挙に暇がないほどである。
実際に私自身が、ある会社の問題に関わった時に、不正会計に関する新聞報道がこの何年間かの間にどれほどあったか調べてみた。
明らかになったのは、2005年以前はそれほど多くはないこと。
2006年すなわち昨年以降、急増していることがみてとれた。この動向の背景には、一体どのような事情があるのだろうか。

■CSRとは?

その一つは、やはり新聞や雑誌等でよくみかけるのだが、「CSR(企業の社会的責任)」を問う声の高まりだろう。
2003年に経済同友会が公表した企業白書『「市場の進化」と社会的責任経営―企業の信頼構築と持続的な価値創造に向けて』の発行をきっかけとして、CSRがとり上げられる機会が多くなったと言われている。
CSRとは、社会において企業が果たすべき責任の総称なのだ。
かつて企業の果たすべき責任は、法令の遵守(コンプライアンス)、社会が求める製品・サービスの提供、納税、株主利益の保護と考えられてきた。
最近の傾向としてはこの範囲に留まることなく、情報開示と双方向のコミュニケーション、企業統治(コーポレート・ガバナンス)、環境保全、誠実な顧客対応、従業員のキャリアアップの支援やワークライフバランスの確保、市民活動への支援や社会貢献等、従来の概念を拡張した幅広い責任を問うものとの認識が広まりつつある。
21世紀を迎えて、日本の経済や社会が大きく変わってきたことを受け、顧客や従業員、投資家をはじめとするステークホールダーに対して企業の担うべき社会的責任は、より広く、深く、重く考えられるようになってきたのだ。
そしてこの傾向は、日本だけでなく1990年代から現在にかけて、欧州や米国でも大きなうねりとなり、広がりつつあるようだ。ISO(国際標準化機構)においても、CSRの規格化が検討されており、2008年にはその結果を受けて国際的なガイドラインが公表される予定だという。
企業の不正に関するニュースが相次ぐのは、報道関係者がCSRの高まりを世界的な動向として認識した結果といえるだろう。

■企業やコミュニケーション担当者の課題

世界的にCSRへの希求が高まる中で、企業もそのような環境への対応を迫られている。すなわち、多様なステークホールダーに対して、前述したようにCSRの立場からの対応や取組みが必要なのだ。
コンプライアンスを強化するための社内におけるチェック体制、財務報告を適正化するための内部統制システムの整備、環境報告書の発行等々、多彩な活動が期待されている。
今や、CSRへの対応は、企業としてのリスクマネジメントだけではなく、企業価値の向上にとっても重要と考えられるようになってきた。
企業において広報やIRなどコミュニケーション活動に関わる人々は、企業を取り巻く環境の変化とCSRに関する理解と対応は不可欠だろう。
もし、自社の社会的な責任に関する理解を欠くのであれば、マーケティング情報等、単に自社にとって都合のよい情報を発信するだけの一面的な広報活動に留まらざるを得ない。
コミュニケーション担当者は、CSRに関する経営者の理解と支援のもとに、情報開示と双方向のコミュニケーションについては積極的な提案や企画、取組みを行わねばならない。
また、企業としてのアカウンタビリティ(説明責任)を果たすためにも、報道関係をはじめとするステークホールダーとのコミュニケーションを積極的に演出していかねばならないだろう。
企業において、コミュニケーション担当者の仕事は、今後ますます幅広く、そして重要になると言えよう。

神谷町の広報マン 愛称:マーベリック
外資系IT企業で広報マン17年、PR系企業におけるコンサルタント生活3年を経て、現在は神谷町にある金融会社にて広報を担当。広報マンとして20年余を過ごす。広報の仕事と、赤ワイン、クルマ、そして年に数回に過ごす軽井沢での静かな生活をこよなく愛する。独自の視点から広報を語り、広報の仕事に携わる後進の成長に貢献したいと考えている。


■神谷町ではたらく広報マンの独白

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