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神谷町ではたらく広報マンの独白(4)記者クラブはいつまで”そのまんま”なのか?

公開日:2007年8月9日

■東国原知事の問題提起

タケシ軍団の”そのまんま東”として有名であった宮崎県の東国原知事が、記者クラブについて物議をかもしだしている。東国原知事は県政記者クラブに対して、有用な県民の情報源であることと、運営の効率化を求めて改革を呼び掛けたという。
県庁のような情報の提供側にとっては、記者クラブを一つの報道機関として対応することにより、いちいち個別のメディアに手間をかけて対応する必要がない。そういった観点では、極めて効率的な報道対応を可能とするシステムである。一方、メディアにとっても、広い公開を旨とする単なる行政情報については特ダネ合戦の対象とする意味はないため、効率的な取材が可能となるというメリットがある。
宮崎県でも同様であり、行政にとっても都合のよい機関であることには変わりはない。記者クラブは、情報発信という意味では、かなり効率的なシステムである。東国原知事のいう”運営の効率化”は、記者クラブ改革の根拠としては今一つものたりない。

■閉鎖的なクラブの体質

記者クラブというのは、それぞれ加盟メディアが決まっており、加盟社以外の活動が原則的に認められない。加盟していないメディア、あるいは個人は、クラブで開かれる会見等に参加することができず、取材する機会を得られない。最近は少しずつ変わってきているようだが、クラブに所属するメディアのみが発表情報を独占的に入手できるのだ。
メディア同士、記者同士の競争の激しい欧米ではこのような機関は存在していない。欧米のジャーナリストはスクープこそ命であり、権力に対抗しながらも真実を伝えようとする使命感に燃えている人間が多いことを逸話としてよく聞く。閉鎖的な環境において情報を公平に分かち合う記者クラブの趣旨は、自分だけの特ダネを狙うジャーナリスト精神とは決して相容れないものだろう。
かつて長野県では、田中康夫前知事が2001年に「脱・記者クラブ宣言」を発表、メディアでなくとも利用できるプレスセンターを設置し、大手マスコミによる情報の独占に終止符を打った。村井現知事になって、センターの名称が変更されたとのことだが、一般人も会見に参加できることは変わっていないようだ。
宮崎県の県政クラブも、在京記者や雑誌記者の参加を拒否しないという。記者クラブの姿勢も少しずつ変わってきてはいるのだろうが、全体的にみると、やはり旧来の閉鎖的な体質が大きく転換したとはまだいえない。

■改革の方向は?

記者クラブの改革について論議する場合、情報を特定のメディアだけに独占させるのではなく、広く情報公開の場にしようという視点が重要と思われる。
なぜならば今、”インターネット”という情報インフラが発達し、情報流通におけるマスメディアの役割や位置付けが大きくが変わりつつあるからだ。マスメディアが世論形成に大きな影響力を発揮した時代から、インターネットを通じて多種多様な意見が交わされ、その中から世論の流れが形成される時代へと転換が進みつつある。もはやマスメディアだけが情報を一人占めすることが問い直されなければならない。
今後、記者クラブの改革論議が盛り上がることは好ましい。しかし、単に運営の効率化をめざすという視点で改革を論じるのではなく、マスメディアをめぐる時代の変化を見据えた上で、開かれた情報発信システムとして記者クラブのあり方を見直すことが必要ではないか。
東国原知事の問題提起が、記者クラブを”そのまんま”でなく、時代の要請に応えたシステムへの改革を促すきっかけとなることを望みたい。

神谷町の広報マン 愛称:マーベリック
外資系IT企業で広報マン17年、PR系企業におけるコンサルタント生活3年を経て、現在は神谷町にある金融会社にて広報を担当。広報マンとして20年余を過ごす。広報の仕事と、赤ワイン、クルマ、そして年に数回に過ごす軽井沢での静かな生活をこよなく愛する。独自の視点から広報を語り、広報の仕事に携わる後進の成長に貢献したいと考えている。


■神谷町ではたらく広報マンの独白

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