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神谷町ではたらく広報マンの独白(3)記者クラブとの付き合い方

公開日:2007年8月3日

今回は、記者クラブについて、私の経験を交えて述べてみたい。ジャーナリズムの健全性を保持する立場からその是非を問う声もあるが、今回はその点については触れない。

記者クラブとは?

記者クラブというのは、行政省庁や警察等公的機関、同業の民間企業が設立する業界団体などの施設に設置された、報道機関各社の共同機関である。クラブごとに加盟社が決まっており、加盟社以外の活動が認められない閉鎖的な体質が特徴である。記者クラブが設立される趣旨は、加盟報道機関の親睦とされるが、実際には設置されている省庁や業界団体を対象とした取材組織といえるだろう。
記者クラブは、ほとんど日本独自の制度であるようだ。かつての日本統治の時代の名残なのか韓国にも同様な機関があるらしいが、欧米ではこのような取材システムは存在しないようだ。
記者クラブを対象とした広報活動を行う場合、注意しなければいけないことが2つある。
一つは、クラブそのものを一つの報道機関として対応すること。二つ目は、報道協定やクラブのルールについて理解しておくことである。

クラブを一つの報道機関として対応する

記者クラブを対象として発表等を実施する場合、会見であっても資料配布であっても加盟各社には公平に対応しなければならない。各社あるいは記者個人を区別することは許されないのである。記者クラブによって多少のルールの違いはあるが、幹事社に事前に発表を申し込み、会見であれば時刻を設定して加盟各社に公平に取材の機会を提供する。ニュースリリース等の資料配布であれば、所定の部数の資料をクラブ内に設置された各社のポストに投函することが必要である。
筆者が駆け出しの広報の頃、このルールを理解不足から失敗したことがある。メディアリストに掲載されている記者に資料を郵送したのだが、宛先がクラブの中の各社になっていた。1通や2通であれば私信で通るのだろうが、かなりの数であったので発表ルールにしたがわない資料の配布とみなされてしまったのである。この後、クラブの幹事社に呼ばれて、厳重注意されたことはいうまでもない。

ルールについて理解すること

もう一つは、報道協定をはじめとしたルールの存在である。たとえば、一度、発表を申し込んで、クラブの”黒板”にその予定が書き込まれると、特定の1社に”リーク”することは認められない。また、報道機関も他社にさきがけてスクープすることは協定違反になるのである。さらに発表内容についても、未公表の新しい情報であることが求められる。申し込みの段階で幹事社にチェックされるのだが、ルールに違反すると”出入り禁止”などの厳しい措置がとられることがある。
これも失敗談なのだが、申し込みを済ませてニュースリリースを投函する当日、発表内容に関連した記事が、ある新聞に掲載される事態が発生した。必ずしもリリースの内容どおりではなかったので予定どおりクラブに資料配布したのだが、これが後で問題となりルール違反としてクラブの会議で取り上げられてしまった。記事を書いた記者も追及されたのだろうが、筆者の企業も”当該記事をみたのなら発表自粛すべき”との判断がなされた。幸い出入り禁止にはならなかったのだが、担当役員とクラブに謝りにいった苦い思い出がある。
こんな失敗を経る中で、筆者は記者クラブへの対応に慎重になった。最近はクラブのルールもかなり緩んできたようだが、今でもクラブ個別に粛として維持されているルールもあるだろう。ルールや慣行については、しっかり見極めて対応していただきたく思う。
もっとも、記者クラブは広報担当者にとっては重要な記者の溜まり場でもある。うまく利用しない手はない。なじみのある記者個別に電話やメールで対応することは何の問題もないのである。要は一つの報道機関として対応せざるを得ない「記者クラブ」と加盟各社個別へ対応を区別し、固有のルールをわきまえてお付き合いすうことが大事なのだ。

神谷町の広報マン 愛称:マーベリック
外資系IT企業で広報マン17年、PR系企業におけるコンサルタント生活3年を経て、現在は神谷町にある金融会社にて広報を担当。広報マンとして20年余を過ごす。広報の仕事と、赤ワイン、クルマ、そして年に数回に過ごす軽井沢での静かな生活をこよなく愛する。独自の視点から広報を語り、広報の仕事に携わる後進の成長に貢献したいと考えている。


■神谷町ではたらく広報マンの独白

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