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神谷町ではたらく広報マンの独白(1)業界や会社ですべて異なる広報の世界

公開日:2007年7月20日

第一回となる今回は、業界や会社の規模によって、「広報」という機能に関する定義や業務における目的、仕事の進め方は、千差万別ということについ述べてみたいと思う。
筆者が広報の世界にかかわった20年余の間、ITや金融、造船、医療、サービス、大学等にわたる、いろいろな業界、大企業から中小企業等の会社、教育機関が行っている「広報」活動をみてきた。「広報」という言葉で決して一言で表現しつくせる世界ではなく、それぞれの特徴を見極め、それにマッチしたアプローチを行うことの重要性を認識している。
もっとも長く経験したのは、外資系IT企業の広報の世界。IT系のメディアは雑誌、Web系など数も多く、それらを対象として展開されるパブリシティはIT産業が大きく発展した1990年代以降、現在でも活発である。
一般的な観点からいえば、外資系のIT企業においては、”マーケティング”のコンセプトがひじょうに明確に確立している。例えば、市場における製品の導入、普及、成熟、終焉といった製品のライフサイクルのそれぞれのフェーズにおけるマーケティング施策の展開を戦略的、計画的に実施する会社が多い。新規性や業界、市場へのインパクトを報道の内容として重視するメディアの特性を活用したパブリシティとしての広報も、特に製品の市場導入のフェーズにおいて重視され、明確にマーケティング活動の一環に位置づけられているのである。
といって、ある局面において絶大な効果を発揮するパブリシティも、万能ではない。製品や会社の市場ポジションや影響力、新規性などをトータルに考慮し、広告やセミナー、展示会、Web等の他のマーケティングのアクティビティとの補完を考慮しながら計画すべきというポイントが重要である。
金融の世界における広報は、また違う特性を持っていることが、経験から認識を深めている。B to B、B to Cのビジネスモデルの相違はあっても、金融は極めてコンザバティブ(保守的)な世界。何よりも重視されるのは、会社やサービスに関する”信用”あるいは”信頼”である。このため、情報の開示については極めて慎重であり、IT系の広報にみられるような活発に情報を発信する世界ではない。”信用”あるいは”信頼”を獲得するのに有用と判断される情報のみを慎重に、対象とするメディアを選定しながら発信するといった傾向が、この業界の一般的なスタンスである。金融関係のメディアもさほど多くはなく、マーケティング的な発想にもとづく広報は未発達であり、会社の信用を誇る”企業広報”が重視されている世界でもある。
もっとも、企業相手ではなく、一般消費者を対象とするビジネスを行う消費者金融や銀行等は、信用を重視しながら、消費者需要を喚起する宣伝活動は活発に展開している。ただ、パブリシティ活動に関しては、慎重なスタンスをとっていることには相違はなく、金融広報の重要な特性として理解しておくことが必要であろう。
かつて広報コンサルタントとして仕事をしていた時、医療関係のパブリシティに携わる機会もあった。医療業界も公的な規制も多く、信用が重視される世界。金融業界と同様、広報には慎重なスタンスが求められる世界であるようだ。
造船会社の広報にも携わる機会もあったが、長い歴史を持つ典型的な日本の機械・装置産業の一例としての認識がある。外資系のIT企業のように明確なマーケティングの業務コンセプトが確立されておらず、良い製品を作り市場に供給することを第一義的に考える”モノ作り”企業としての意識が強く、まず第一に企業の認知度や知名度を向上させることを目的とした広報活動の意味を理解していただくことに腐心した記憶がある。
業界、企業の規模や歴史、外資か日本資本か、それぞれの会社の持つ特性に応じて、「広報」に関する捉え方や業務としての位置付けも、すべて異なっているといっても過言ではない。広報の仕事に携わる方々には、まずその会社の考え方や特徴を把握した上、物怖じすることなく前向きに取り組んでいってほしいと思う。

神谷町の広報マン 愛称:マーベリック
外資系IT企業で広報マン17年、PR系企業におけるコンサルタント生活3年を経て、現在は神谷町にある金融会社にて広報を担当。広報マンとして20年余を過ごす。広報の仕事と、赤ワイン、クルマ、そして年に数回に過ごす軽井沢での静かな生活をこよなく愛する。独自の視点から広報を語り、広報の仕事に携わる後進の成長に貢献したいと考えている。


■神谷町ではたらく広報マンの独白

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