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【第5回】オウンドメディアを活用したSEO強化

公開日:2014年1月21日

問題はいかに外部リンクを増やすか

パンダアップデート以降、コンテンツを中心とした新しい時代のSEOのレースが幕開けしたことを、前回のコラムで説明しました。Googleは、外部リンクに偏重したアルゴリズムを是正し、検索ユーザーの満足度によりフォーカスした検索結果を目指しているように思われます。検索ユーザーの満足度を高めるとは、キーワードとの関連性が高く良質なコンテンツを有しているサイトやページを優先的に上位に表示させることで、以前のように有償の外部リンクサービスを受けて順位を競うような時代は終焉を迎つつあるわけです。
前回のコラムでは、コンテンツ力をあげることが、いかに重要であり効果があるかということを述べました。一方で、一体外部リンク対策はどうすべきなのかという疑問が残ります。現在も有償の外部リンクサービスを受けている読者も多いと思いますし、はたして有償の外部リンクサービスを止めて、代替となる外部リンク対策はあるのかと疑問をお持ちの方も多いのではないかと思います。

そこで筆者が、解決策のひとつとして提示しようと思っているのが、オウンドメディアです。オウンドメディアという呼び名がわかりづらければ、自社サイトやサテライトサイトと言ってもよいでしょう。私がこのようなサイト構築を実践し効果を上げたのは5年以上も前のことですが、当時はオウンドメディアという便利な呼び方がなかったのでサテライトサイトと表現していました。しかし最近は「オウンドメディア」という便利な呼称が流行っているので、このコラムではオウンドメディアで統一したいと考えます。

「オウンドメディア」という呼称に慣れていない方のために若干の説明を加えたいと思いますが、わたしがここで使う「オウンドメディア」という呼称には、厳格な定義はありません。簡単にいえば、自社のメインサイト(ブランドや会社、商品、サービス)とは、別の場所(ドメインと言っても良い)にサイトを置き、潜在層とのコミュニケーションを行う自社メディアを意味しているつもりです。Ownedとは「自分の」ということなので、自社メディアと考えていただくのが一番イメージに近いかもしれません。

さて有償の外部リンクサービスに頼らずに外部リンクを集めるには、前回のコラムでもお伝えした通り、ユーザーを引きつけるようなコンテンツを用意する必要があります。コンテンツ強化によって外部リンクを集めるということは、かなり難易度が高いようにも思われるかもしれません。実際に簡単でないことは事実ですが、糸口は沢山あります。
まずはターゲットとなるユーザーの欲しい情報、ニーズを理解し情報を発信することが挙げられます。ターゲットユーザーを理解できれば彼らが必要としている情報は自ずとわかってきます。彼らの知りたいというニーズに応える情報を発信すれば良いわけです。自社商品やサービスについても通り一辺倒の説明だけでなく、より深い理解を促すように多角的な情報やユーザーの体験談などを掲載することも有益です。また新商品から広報活動まで、様々な企業活動を、報道用のプレスリリースだけでなく、より広範にニュースリリースとして情報を発信することもひとつの手です。

つまり検索ユーザーのニーズに応えたり、興味を喚起させたり、理解を促すような情報を発信できれば、自ずと外部のサイトで紹介されたり、ソーシャル上で情報が伝搬するようになり、自然と外部リンクとしての評価が高まっていきます。ただ、いきなり外部リンクを増やすということに固執しないほうが良いかもしれません。外部リンクを増やすというのは最初のうちは難易度が高いので、それよりもソーシャルメディアで情報を流通させるには、どのようなコンテンツが必要かという発想で、企画を考えたほうが良いと思います。

オウンドメディアがSEOに必要な理由

さてここまでコンテンツを強化することにより外部リンクの評価を高めることについて説明してきましたが、それではなぜオウンドメディアが外部リンク強化に有効なのでしょうか。当然自社の商品やサービスを紹介する自社のメインサイトも、コンテンツを強化して外部リンクの評価を高める必要性があることに変わりありません。ただ自社のメインサイトの集客には限界があるのではないかと筆者は考えます。

潜在層を掴むためには、ビックワードやミディアムワードを上位表示させることが重要ですが、自社のメインサイトで潜在層を呼び込むSEOの戦略は適さない場合があります。検索エンジンの評価の対象となるキーワードは、コンテンツと密接に関連づけられています。自社のメインサイトのコンテンツは、当然商品やサービスが主軸にあるため、商品やサービスに関連するキーワードを上位表示させることには適しています。たとえば、「ベビー向け石鹸」とか、「無添加化粧品」とか商品ジャンル名などに該当するキーワードであれば、難易度は別としても、コンテンツとの一致は図りやすいはずです。
しかし商品の購入意思決定まで至っていない興味段階の多くの潜在ユーザーは、商品やサービスにダイレクトに結びつくキーワードとは別の検索ワードで情報検索をしています。たとえば「ベビー向け石鹸」の潜在ユーザーは、「赤ちゃん スキンケア」などのキーワードで情報を検索しているでしょう。「無添加化粧品」の潜在ユーザーであれば、「敏感肌 スキンケア」などのキーワードで検索しているのではと思われます。

マーケッターとしては、商品ジャンル名に該当するようなユーザーのウォンツを示すキーワードも、潜在ユーザーが情報検索をするときに使うニーズ系のキーワードも、両者ともに上位表示させたいと思うかもしれません。しかし実際には、難易度の高いキーワードの2ワードを追うことは困難を極めます。検索エンジンはピラミッド型の構造であるWebサイトの最上部、つまりトップページを最大評価します。Googleは基本的には1つのサイトを単一のテーマとして評価しています。ビックワードや難易度の高いミディアムワードなど2つのワードを共存させ上位表示させるということは難しいわけです。「赤ちゃん スキンケア情報」というコンテンツを自社のサイト内に設置することはできますが、コンテンツ自体はどうしても2階層目以降に位置することになるため、上位表示させるには不利な条件となってしまいます。つまり「ベビー向け石鹸」と「赤ちゃん スキンケア」のような2つのキーワードを、同じサイトで上位表示させることは極めて困難であると言えます。

オウンドメディアをSEOの戦略として活用する意味がここにあります。購入意思が明確なユーザーから対象を広げ潜在層のニーズに応える情報サイトを構築すれば、SEOによって多くの潜在ユーザーと接触を可能にすることができるからです。検索エンジンは、1サイト1テーマ、1ページ1テーマとして評価を行っています。前述した商品サイトやサービスサイトでは、テーマは商品やサービス自体にあるため、より広範にキーワードを広げる難しさがあります。その点、潜在層のニーズをテーマとしてオウンドメディアをつくれば、ビックワードだけでなく、ユーザーの広範な検索ニーズをもとに集客が可能となるわけです。

オウンドメディアで外部リンクをマネージするという考え

さらに発展させれば、複数のオウンドメディアを構築し、衛星サイトのように自社のメインサインの周囲に張り巡らせる方法もあります。興味を抱いた閲覧者を回遊させ、更にいろいろな方向でユーザーの興味やニーズに応える構図です。このように複数のサイトを回遊させることは、リンクを張り巡らすことにもつながり、外部リンクを自らマネージするということにつながります。ここまで発展できれば、有償の外部リンクの会社に大きな予算をつぎ込む必要もなくなってきます。これはとても大きな絵ですが、長期的にSEOを考えるのであれば、このようなコンセプトの可能性について意識しても良いのではないかと考えます。

なおリンクの方法は自然体であるべきで、不自然なリンクはスパムになりますので注意が必要です。基本的には来訪者の満足度を高めることを一義に自然なリンクの設計をすることが望まれます。また発リンク(※発リンクとは、自身のサイトから外部のサイトへリンクを設けることを指します。被リンクの逆と考えると分りやすいでしょう)は、リンク価値の受け渡しになるので、周到に計算しておくことも肝要です。

潜在ユーザーを啓蒙できるというSEO以外の利点

オウンドメディアのメリットは、SEOだけに留まりません。潜在層の獲得には、自社商品やサービスを掲げている自社サイトよりも、オウンドメディアのほうが有効に働くからです。ITが進化した現在、ユーザーの情報を選別する目はかなりシビアになってきています。IT以前、多くの情報は、マスコミやメディア、一部のメーカーやブランド側にありました。その頃はメーカー側のメッセージに対してもユーザーは、有り難く耳を傾けてくれていたわけですが、ITが発達し、多くの情報の流通が可能になって以降、ユーザーは、メーカー側やブランド側のメッセージを本能的に避けようとする傾向にあります。自社の商品の良さを謳っても、ユーザーにとっては我田引水ではないかという疑念のほうが最初に持ち上がるからでしょう。自社の商品やサービスが良いという主張には、バイアスがかかっているのでないかと悟っているわけです。メーカーやブランド側のサイトで啓蒙するために良質なコンテンツを用意したとしても、どうせ我田引水ではないかという先入観のあるユーザーには、なかなか刺さりづらいのが現状です。

ユーザーが求めているのは、もっと公正な情報です。バイアスのかかっていない公平な情報や正しい情報をもとに、購入決定にあたり最適な判断を下したいと思っているわけです。そうでなくても自社商品への熱い思いは、自ずと煽りすぎのコンテンツを提供することになってしまいます。熱意をもって語れば語るほど、ユーザー側は引いてしまうという構図です。それは現在のマッケーターの宿命のようなものなのかもしれませんが、マーケッターは、バイアスのかかった情報を敬遠したいと思う現在のユーザー心理に、もっと敏感になる必要があると思います。

さて、こうした状況を打開するアプローチとして有効なのがオウンドメディアによる情報サイトだと筆者は考えます。自社の商品サイト上で、自身の商品ばかりを謳うのではなく、ユーザーの知りたい情報に的確に応答する、良質な情報サイトをユーザーに提供すれば、潜在ユーザーとの豊かなコミュニケーションを成立させてくれるでしょう。
オウンドメディアで情報を発信するということは、潜在ユーザーの心に届くように、語る場所を変え、語り口を変えるということを指します。ベビー向け石鹸を販売しているメーカーであれば、潜在層が興味を示す「赤ちゃんのスキンケア」に関わる情報サイトを構築すれば良いでしょう。良質なコンテンツとSEOの効果が発揮できれば、潜在的なユーザーを磁石のように集めることが可能になります。

さらに「良い記事を読んだ」。「ためになった」というWeb体験は、良質なブランド体験に昇華することになります。この情報を発信しているブランドやメーカーに対して良好なイメージが醸成され記憶され、いずれ訪れる購入意思決定時の、ブランド選定に大きく作用することにつながるはずです。これこそが、潜在層に広くくさびを打つ最良なアプローチではないかというのが筆者の考えです。Web戦略のコラムで、「コンテンツ力×集客力」は鉄板の方程式だと述べましたが、まさしくこのオウンドメディアの戦略は、この鉄板の方程式を実践するものであり、その効果は計り知れないものだと考えます。

>>次ページ「効果が実証された事例

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