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「パンツ」に新しい価値をもたらした、ワコールのソーシャル企画の優れた戦略~ワコールの担当者に取材しました

公開日:2016年9月16日

リリースで真面目さとのバランスを取る

布川:Webの面白企画のリリースを書くときも、世間が思ってくれているであろう真面目なワコールのイメージそのままに書いています。

調査結果などでこういう背景があるから、こういう切り口やテーマで企画を打ち出します、というのをリリースでは説明するようにしています。

ただ、あまり事細かに説明すると読み物として面白くなくなってしまうので、始めの取っかかりの文ではある程度面白い言葉を使いながら、でもこの面白い企画はこういう真面目な調査や思いを辿ってきているんだということをわかってもらうように、裏付けとなる調査結果や数字を出して説明しています。

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──リリースで真面目さのバランスを取っているんですね。

布川:アンケートや調査結果があると、メディアの方々の反応が良いんですよ。テレビでも新聞でもWebメディアでも、裏付けがないと記事になりにくいので。

商品のリリースでも、単純に「この商品がいいです」と書いても響かない。でも、「世の中の人々がこういうものを求めていることがわかったから、この商品を出しました」という文脈にすると、なるほどと思ってもらえる。

Web企画でも商品のPRでも、生活者やメディアが納得しやすい材料がデータとしてあるとリリースとしての情報価値も上がりますし、そこは常に意識して、世の中が欲しいであろう情報になるように考えて作成しています。

調査リリースの利点と「他人ゴト化」による情報流通

──2016年の「申赤」企画のリリースでも、Twitter調査などと絡めてリリースを配信していました。

北見:調査リリースを行うのには2つ理由があります。

一つは、キュレーションメディアで気軽に記事化してもらえる情報素材を提供すること。「申赤パンツ」のときは、アンケート結果を記事にしてもらえるよう配信計画を意識して、アンケート結果ごとにリリースを分けることもしました。

キュレーションメディアは、トップの写真1枚とタイトルが勝負なので、リリースの中に面白い切り口が2つあったらどちらかの話題が埋もれてしまいます。それはもったいないので、その場合は2回に分けてリリースしたり。

もう一つはソーシャルメディア向けの理由です。

下着は生活者にとって非常にプライベートな領域ですので、「自分ゴト化」の情報流通がなかなか難しい。食べ物などのようにInstagramで消費者からの投稿写真を集めるようなキャンペーンが成立しにくいジャンルです。

その場合、自分ゴト化よりも「他人ゴト化」して話題にできる情報のほうが流通しやすいと思っていて、「あの人たちがあんなことをしているんだって」くらいの距離感でいいのかな、と。

例えば、Facebookで面白コンテンツを多くシェアする人は、「こういう面白いことに敏感な自分」という一面を周りに知ってもらいたいという思いがあったりしますよね。

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──どんなコンテンツをシェアするかも、自己表現の一つになっていますね。

北見:ですから、例えば情報発信力があって普段から女性とも軽いノリで交流できるミドル男性層が、ソーシャルメディアで「今年は赤いパンツがいいらしいよ」ということを話題にしてくれたりすると、意外と反応が伸びたりする。

そういう人たちは、モバイルでもアイドルでも食の話題でも、そのとき最も旬な話題を流行モノとして人に広めてくれるので、そういった人たちでも話題にしやすいように「他人ゴト化」する。

企業の担当者としては、女性向けのアイテムはターゲティングを女性に絞って広告配信しますが、それだけでは絶対に流行らないんです。

ソーシャルメディアで広めたい話題は、ターゲット層以外の人も話題にしてもらえるよう、あえてノンターゲティングで配信することもあります。

──女性でも、自分が「赤いパンツ買いました!」よりも、「うちのおかんが縁起物の赤いパンツを買ってきた」という他人ゴトの話題のほうが発信しやすい感覚はあります(笑)

「申赤」企画が大成功した理由

布川:実は今年の「申赤」は、自分でもまさかここまで反応があるのかと驚いたほど当たった企画でした。「申赤」は、2015年9月に最初のリリースを出しまして。年末までかなり時間があるので、早いかな?と思ったんですが、結果的にそれがベストのタイミングでした。

というのも、「申年に赤い下着を身につける」というのは古来からの縁起担ぎで、新しい話題ではありません。そのためどこよりも早くメッセージを出すことで、情報のプライオリティーを取ることを狙ったんです。

結果、年末ぐらいにフォーカスされるようになり、広報的には情報発信のタイミングを早めに仕込むのもときには重要なのかと申赤のときは特に感じました。

普通はリリースなどで情報発信したら、すぐに反応を見るんですが、申赤は9月に出して、テレビの取材や新聞の問い合わせが増えたのが11月ぐらいから。2か月も経ってピークが来た特殊な事例でした。

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──9月の時点でリリースを見た人が、ワコールが情報源だということを忘れても、「申赤」のワードだけは頭に残りそうです。

北見:ワコールが発信した情報だということを忘れても「申年 赤い下着」の検索ワードで1位を取れていれば、サイトに来てもらえます。

テレビで取り上げられたのを見て、ネットで検索したらワコールがヒットする。キュレーションメディアで記事を書くために検索しても、ワコールの情報がヒットしますので、ご連絡いただけば素材提供や取材などで協力させていただきます、というふうに理想的な情報のサイクルが作り出せました。

「申赤」企画は予算をかけて何かをしたわけではなく、情報源もリリースとランディングページしかなかったんですが、それをいかにSEOで当てていくかというのは意識して、情報を出す順番やタイトルの入れ替えなどは相当行いました。

──数字的にはどのくらい反響があったのでしょうか?

布川:赤い下着の売上で言うと、2015年の秋冬ぐらいから仕込んで2016年3月までの約半年間で、12年前の申年と比較して2倍ぐらいは売れました。

それを見たときは、ちょっとテンション上がりましたね。商品開発・販売計画の立案や販売店での対応はもちろん、広報やリリース、情報発信の力も重なり、これだけ明確な実績につなげられたのはすごい自信にもなりましたし。

北見:PRでメディアに取り上げられて意味があるのか?という議論はどこの企業内でもあると思うのですが、やはりある一定以上載ったら意味があると思っていて、要するにリーチがどれだけ取れたかだと思うんです。

今年の申赤企画は、ずっとひっきりなしにメディアの取材が入ったり、どこかに掲載されたりというのが続いていて、関連コンテンツが勝手に増えていったので非常にいい流れでした。

「パンツでゲン担ぎ」から「パンツで頑張ろう!」へ

──その成功があっての、8月2日「クラウドパンツィング!?」企画だったわけですね。

布川:そうですね、その流れを崩したくなくて。

申赤で生活者のみなさんがパンツで縁起担ぎをしていることがわかった。じゃあ、普段からパンツでゲン担ぎをしている人はどのくらいいるか調査してみたら、想像以上に多くの人がパンツでゲン担ぎをしていることがわかった。

実は僕自身、パンツでゲン担ぎをするというのは、それまで思いつきもしませんでした。でもみんなやっていて、パンツで「頑張ろう!」という気持ちになってくれるのだったら、我々もメーカーとしてパンツで応援しようじゃないか、というふうにつながっていったんです。

あとは、「クラウドパンツィング!?」に参加してくれた10チームがものすごく頑張ってくれて、「パンツよかった!」という話になれば最高なんですけれど(笑)、そこまではお願いはしていないので、そう感じてくれればいいなと思っています。

──10チームの後日談については公開される予定はありますか?

布川:もし面白いトピックがあればご紹介したいと思っています。申赤は12年に一度で、来年は変わってしまいますが、「パンツでゲンを担ぐ」というのがもっと広まって、「元気を得るためにパンツを買おう!」と思ってくれればいいなと思っています。

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布川様、北見様、貴重なお話ありがとうございました!

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